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コラム『カシオペイア』(アーカイブ)

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第23号
新しい自然教室、移動教室へ その2
桜井義維英

2020.9.21

青少年教育施設での新しいキャンプのお話の続きです。

何のために青少年教育施設に泊まるのでしょうか?
それはまず、青少年教育施設が地域との連携のハブになっているからということ。
先回申し上げた、地域の一次産業を自然教室、移動教室に取り入れるには、地域の専門家や、農林漁家、木工職人の方々にご協力を仰がなくてはいけないでしょう。それこそが地域との連携になります。

そして、自分の地域を知るということとは別に、子ども達の仲間づくりという目的も、この自然教室、移動教室には存在するのです。その目的を十分に果たすために青少年教育施設で集団宿泊をするのです。

机や椅子を作り続けて、どうやってその目的を果たすのか?
それを考え、活動を作り上げるのが、青少年教育施設にいる指導職員の腕の見せどころではないでしょうか。
ひとつは、プログラムとプログラムの間に、そのような仲間づくりができるプログラムを差し込んでいくということもいいでしょう。机や椅子づくりをする事業ならば、木をテーマにしたり、使ったりした仲間づくりの活動を作りあげましょう。
また、机、椅子づくりそのものの中に、仲間づくりをすることができる仕掛けを作り込むということもできるでしょう。
例えば、二人一組で作る。カンナは二人にひとつ。わざわざ、ひとりが材木をしっかり押さえないといけないような道具立てにしておくのです。鋸も同様です。
そして、木工職人さんとよく打合せしておいて、そのような目的があるということを理解しておいてもらうのです。

初めて田植え体験をプログラムとして行ったとき、子ども達はきちんと稲を植え付けることができませんでした。土は汚いというイメージがあり、田んぼの泥にしっかりと手をいれられなかったからです。
翌年、田植えの前にドロンコあそびを取り入れました。前年に比べると、稲はしっかり植えられていたと記憶しています。この、田植えの時のドロンコあそびは、今では多くの田植え体験で取り入れられています。
このように、ただ農業という作業を体験にするのではなく、何のためにするかという目的を明確にした体験を作り上げないといけないのです。

そんなことができるのは青少年教育施設の職員や自然学校の人々ではないでしょうか。
その人たちが、一次産業の人たちと協力して、日本の新しい自然教室、移動教室を作り上げるのです。アメリカをモデルにしたものではなく、日本独自の自然観をベースにした自然体験活動を行う教室を作るのです。
これは、戦後最大のチャンスなのではないでしょうか?
これをお読みになった青少年教育施設職員の方は、是非、奮い立ってほしいと思います。
先生方は、是非、チャンスをください。
政府や文部科学省の方は、そんな新しいチャレンジにお力をお貸しください。

2020年9月5日記
桜井義維英


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