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コラム『カシオペイア』(アーカイブ)

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第85号
企業とともにプログラムを作る…小屋テント
桜井 義維英

2022.1.5

皆さんが行う自然体験の中で、宿泊を伴う活動は、どこに泊まりますか?
テントですか? 宿舎ですか?
学校が行う自然教室や移動教室で、テントに泊まることはほとんどなくなっているようですね。
自然学校でテントに泊まる活動はどれぐらいあるのでしょう。

テントに泊まる活動は、どんどん減ってきていると思います。
そもそも、テントに泊まる活動というのは、どういう目的で行われるのでしょう?
長い距離を移動をするために、自分たちでテントを担いで行って、途中で泊まるということですね。

施設に併設されたキャンプ場に立ててあるテントに泊まるという活動の目的は、何でしょう?
国立の青少年教育施設には常設テントというものがありました。
しかし残念ながら、そのテントの裾は、カビが生え、決して衛生的と言えるものではありませんでした。
見た目も、決して泊まりたいと思えるようなものではありませんでした。
このような施設では、宿泊する人がいなくなってしまってもしょうがないだろうなと思いました。

そもそもテント生活というのは、アメリカなどから導入された手法ですね。
しかし日本はアメリカなどとは違い、高温多湿でカビが発生しやすい気候です。
ですから、テントの綿布などは、すぐにカビが生えてしまいます。
それなのにどうして、梅雨時もテントを立てたままにしておくのでしょうか?

もっと、研究するべきだと思いました。

もともと日本は、木造建築の国です。
山に入る人たちは、杣小屋(そまごや)というものを、山の中に立てていました。
「杣小屋」とは、木の枝や皮などで簡易的に立てた小屋のことです。



日本はやはり木の文化なのですね。
そこで私は…
テントのように、組み立て式で、かつ木造の小屋のようなものができないだろうかと、考えました。



これは立派な建物のように見えるかもしれませんが、組み立て式なのです。
「小屋テント」と命名しました。
もちろん私が作ったのではなく、
株式会社 長谷川萬治商店(以下、はせまん)という、木材を中心にした製材加工を行っている会社にご協力いただきました。
残念ながら、まだまだの試作品という感じです。
というのも、この小屋テントひとつを作るのに、2トントラックいっぱいの材料が必要となります。
ちょっと立派すぎですね。
まだまだ研究しないといけないと思っています。

しかし、これはこれで、はせまんさんでは、イベントなどで引き合いが来ているようです。
こんな風に、これからの日本の自然体験の形を考え、企業とも連携して、新しいツールを作り出していかなくてはいけないと思います。
そして、そのツールを使った、教育の方法を考えるのです。

この小屋テントも、みんなで協力しないと立てられないものにしようと思いました。
現代のテントは、ひとりでも立てられるようにと、メーカーによって改良されています。
そのテントを、みんなで協力して立てようと言うのは、どうも腑に落ちないのです。
しかし写真ような木の小屋は、本当に協力しないと立てられません。
本当に、仲間づくりに役立つ小屋テント設営ということになります。

他にもまだまだ、このような道具の進化は、考えられるのではないでしょうか。
皆さんと一緒にこんなことも考えていきたいと思うのです。

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