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コラム『カシオペイア』(アーカイブ)

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第45号
指導者養成としての突撃取材
桜井義維英

2021.3.7

私が大学を卒業して、最初に就いた仕事は(財)交通遺児育英会の職員でした。そこで発行している機関紙は、職員が記者をして、制作していました。当然、私もいくつかのコーナーを担当しました。
その中でも、印象的なのは、タレントさんを取材するコーナーでした。
小泉今日子さん、柴田恭兵さんなどを取材しました。つてもなく、とにかくタレント名鑑みたいなもので事務所の連絡先を調べて、突撃していきました。
取材の謝金などはありません。
その取材は難航を極めましたが、思いを伝え、成功したときは、本当にうれしかったことを覚えています。
その交渉を通して、自分がなぜ交通遺児のための支援活動をしているのか、交通遺児育英会の使命は何なのかを考えました。そして言葉にするのです。交渉相手にそのことをきちんと伝えられなくては、相手も考えてくださいませんから。

その後、あしなが運動を展開するとき…
『あしなが運動』というのは、ジーン・ウェブスター著の小説「あしながおじさん」になぞらえて、匿名の寄付者を募るという運動でした。
その中で、愛川欽也さんにあしながおじさんになっていただこうと、やはり事務所に突撃をしました。
一回目は門前払いでした…当時、うつみみどりさんとの結婚問題でナーバスになっていたこともあり、神経質になっていたようです。
しかし、私と組んだ学生さんと一緒に、何度か事務所の前で待っていたら、あちらも根負けして会っていただけました。
そして、見事あしながおじさんになってくださったのです。
しばらくたって、うつみさんから私に電話があり、あの時の学生さんを事務所のスタッフに迎えたいとおっしゃっていただきました。
残念ながら、このお話はまとまりませんでしたが、とっても、彼のことを買っていただけたようでした。

国際自然大学校でも、一時そのようなことをしました。学生がチャレンジして、武田鉄矢さんを取材することができました。
「そんなことが何の役に立つのか」と思われるかもしれませんが、
まず、交渉術を身に着けることができます。自分の考えていることを整理し、言葉にする力が付きます。若い人にそんな力をつけてもらうことは、必ずその人の将来に役立ちます。
また、当然人脈も広がります。この人脈も必ず将来に役に立ちます。
もちろん、取材をさせる側、すなわち当時なら交通遺児育英会や国際自然大学校という団体も、その責任を負わなくてはいけません。
でもその責任というリスクを負ってでも、十分に価値のある体験を若い人にはしてもらえる活動なのではないかと思います。
そのためには、それを発表する広報紙がないといけませんが…。

2021年2月10日記
桜井義維英


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