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コラム『カシオペイア』(アーカイブ)

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第34号
自然は多くのことを教えてくれる
桜井義維英

2020.12.14

少し前、11月15日の朝日新聞天声人語です。
『・・・草花や、鳥や虫などが季節を告げる。風物詩であり、大切な気候の指標でもある。そんな考え方から各地の気象台は開花や初鳴きなど57種類の「生物季節観察」を続けてきた。しかし、来年からは桜や梅などの目立つところを残し対象を大きく削減することになった。都市化や、温暖化により、気象台付近の観測が難しくなっているためという。・・・(抜粋)』

そういえば、最近は、コンピューターによる予測が全盛のように思います。
しかし、よく気象で聞く「想定外を想定できる」のが、虫や鳥や植物なのではないでしょうか。
あまりコンピューターに多くを委ね過ぎると、停電一発で、雨漏り一発で、すべておじゃんという、まさに想定外に見舞われることもあるのではないでしょうか。
気象台付近の観測が難しくなったのなら、国民の支援を仰いで、より多くの地点で、観測してみてはどうでしょう。新しい発見や、変化を見つけることができるかもしれませんよね。
その変化の発見が、大きな災害の予測に結びついたりすることがあるかもしれませんよね。

毎日のようにパソコンに向かい、ネット経由で皆さんに語り掛けている私ではありますが、自然体験活動の仕事をしている人間でもあるわけで、自然の未知なる力を信じています。
私たちが、すべてを解明したかのように思う不遜な態度は捨て、もっと自然の変化や、動きに教えを乞う謙虚な姿勢は持ち続けた方がいいのではないでしょうか。
コンピューターも駆使しつつ、自然に対する畏敬の念も持ち続ける。
まさに、飛行機の左右の翼のように、先進的な技術と、自然の中で生きていく力の両方をきちんと持つことによって、これから先の時代を生き抜いていけるのではないでしょうか。
野生児のように、自然の中で駆け回ってばかりいては、現代社会では、なかなか受け入れられないでしょう。
しかし、コンピューターが万能のように思い、何でもかんでもコンピューターで解決できるという思い込みも危険なように思うのです。
もしかして気象庁も、そんなコンピューターで何でも予想できると思い始めているのだとしたら…想定外が増えていくように思えてなりません。そこには、想定外の災害がついてくるのです。

もう一度、申し上げます。
私たちは、もっと自然の変化や、動きに教えを乞う謙虚な姿勢を持ち続けた方がいいのではないでしょうか。

2020年12月05日記
桜井義維英


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