コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第20号
アウトドアシューズ
原田 順一(NPO法人 湘南自然学校)
2020.8.28
私が所属する自然学校では、夏になると毎年多くのボランティアリーダーが、キャンプデビューをします。今年は、例年より少ない人数ではありましたが、30名程の新規リーダーが、ドキドキワクワクしながら夏を迎えています。例年以上に、気を遣うことが多いキャンプですが、デビューキャンプが心に残る時間になることを願っています。
さて、その新規リーダーからの質問で、「アウトドアグッズを買うとしたら、始めは何を買ったほうがよいですか?」と聞かれることがあります。あくまで予想ですが、恐らく始めは、バックやジャケットを購入するリーダーが多いのではないでしょうか。自分が持っていない物に、やはり興味がいくものだと思います。確かに、かっこいいバックやジャケットを着ていたら、目立ちますし、購入したい気持ちも凄く理解できます。
みなさんは、その様な質問をされた時、何と答えますか?
私は、「靴」と答えるようにしています。その理由は2つあります。1つ目は、雨が降った時に着るレインウエアや、行き帰りしか使わないバックよりも、常時履くアウトドアシューズは、1番自然と接する部分であり、いつでも身に着ける物であるからです。防水性に優れ、滑りにくく歩きやすい。ぬかるんだ場所や不安定な岩場などを歩く時が、もっともアウトドアシューズの効果が発揮される時です。防水性やグリップ感が無いと、雨の日はずぶ濡れになり、滑って転倒する危険性があるなど、安全面に欠けることになります。
もう1つの理由は、少しこじつけかもしれませんが、「足元を固める」「自分の足でしっかり歩く」と言った目標に対しての言葉や、「足元をすくわれる」「足元をみられる」などの、ネガティブな言葉であったりと、足元周辺に関する言葉には、意味のある表現が多い気がしているからです。機能性のあるアウトドアシューズを履いて、デビューキャンプをしっかりと自分の足で前に進めるように、願いを込めた意味合いで伝えています。
また、最近では、もう1つ意味があると思っています。それは、いつ起こるか分からない災害に備えておくことです。キャンプ中に災害が起こったら、色々な物が地面に落ちている可能性があります。足を怪我しないためにも、行動性に優れたシューズを履いておくことが、リスクマネジメントの1つだと考えます。
さて、私も先日、シーズン前に靴を新調しました。思い返してみると、自然学校で働き始めて18年、6足目の靴になります。単純計算で、3年に1足。長持ちしているほうでしょうか。私のような、都心から子どもたちを引率して山や海に行く指導者は、アウトドアシーンだけではなく、タウンユース使用も考えつつ、機能性も含めて購入します。今回も、ピッタリの1足に出会えました。「1歩1歩確実に、進みたい」という願いを込めて、履き続けたいと思います。
原田 順一