コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第79号
36チャレンジ
桜井義維英
2021.11.17
国際自然大学校で、大人向けのプログラムとして作ったものが、「100キロチャレンジハイク」です。
その他にも、クロスカントリー、シティーチャレンジ、ビバークという活動を作りました。
100キロチャレンジハイクは、すでに有名ですのでご存じの方も多いと思いますが、24時間で100㎞を歩こうというものです。それも、歩き始めたときのグループを崩さずに歩くのです。
シティーチャレンジは、街中で与えられた課題をクリアするというものです。
時に1泊2日で行ったりもしましたが、多くは日帰りでの実施でした。
一番大きな課題は、お金を持たずに街に出て、自分たちの夕食を調達してくるというものでした。
クロスカントリーは、山の中を走り抜けるというものです。今時の言い方をすればトレイルランです。
ビバークは、山の中で、ひとりで一定期間過ごしてくるというものです。持ち物や食料を制限します。指定された場所で一定の期間(時間)を過ごすのです。指定された場所から移動することはできません。そして、今までの自分を振り返る課題も与えます。
この4つのプログラムは『静』と『動』、『ひとり』と『グループ』というマトリックスの中にあります。
しかし、このようなプログラムは大掛かりです。
100㎞のコースを作るには大変な手間暇や時間がかかります。
クロスカントリーも同様です。
ビバークに至っては、場所を設定するためのロケハンもさることながら、開催中は、ほぼ不寝番をしなくてはいけません。
国際自然大学校でも、この4つのプログラムは約半年にわたって実施しました
さて、現代は、このような大掛かりなプログラムに参加する人が、なかなか少なくなっているようです。
国際自然大学校では、100キロチャレンジハイク以外はすでに実施されていません。
時のすう勢がありますから、プログラムのスクラップアンドビルドがあるのは当然と考えます。しかし、大学生や成人世代のプログラムには、あまり新しいものを見受けることがありません。
そこで、今上記のような4つのプログラムを、もっと参加しやすいように、コンパクトにまとめたらどうだろうかと考えました。
それが、「36チャレンジ」です。
36時間で4つのプログラムを実施するのです。
100キロチャレンジハイクを50キロに短縮し、14時間で実施。
クロスカントリーは、指定されたコースを走るのではなく、一周数キロのコースを3時間で何周するかを自己申告し、その目標に向かって走ります。
シティーチャレンジは、開催する地域への奉仕活動を5時間行います。
ビバークは一晩に短縮し、14時間の実施とします。
合計36時間です。
実験的に1回開催しましたが、大いに可能性が感じられるものでした。
参加してくれた方々が、その実験プログラムをベースに、各団体で試行錯誤してくれているようでうれしいです。
なぜ、このように大型のプログラムをコンパクトにまとめる必要があるのかというと、やはり時代の要請なのではないかと考えています。
そんなに時代に迎合してしまっては効果が半減し、何にもならないのではないか…というご意見もあるかもしれません。
私も、そこに迷いはあります。
しかし、大型プログラムをやめてしまえば、効果は半減どころかゼロです。
入口のハードルを低くして、興味を持ってもらい、いずれ、大型プログラムを再度展開できるようになるといいなと思っています。
この考え方は、いつも私が申し上げる、トイレのお話しをお考えいただければわかると思います。この図の詳細についてはまた機会を見て、お話しできればと思います。