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コラム『カシオペイア』(アーカイブ)

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第91号
「文章を書く」という事から、「人に何かを伝える」という事を考えました。
関口 千尋(NPO法人国際自然大学校)

2022.2.16

 あっという間に、カシオペイア担当、最後の回となりました。この一年間、「人前で発表する文章を書く」という事を通して、頭を悩ませる時間が多くありました。しかし、それは同時に、「実りある時間」でもありました。

 突然ですが、皆さんは文章を書く際にどのような行程を踏みますか。例えば、絵を書くのであれば、まずは下書きをするでしょう。書いては消し、書いては消し…、形が見えてきたらアウトラインを決めていく、そして色付け。こんな按配で段階を踏んでいくのかもしれません。


 では、文章を書く場合はどうでしょうか。カシオペイアを執筆する際、私の場合は、まず「伝えたい事」をいくつか列挙してみました。いわゆるフラッシュアイデアを大切にします。その理由は、私はカシオペイアを通じて、人に何かを伝えたいからです。したがって、原稿を書く際に心の中にあるタイムリーな話題を大事にします。いくつも浮かぶ時も有れば、なかなか出てこない時も有ります。次に、「何故、それを伝えたいのか」を考えます。伝えたい理由が明確になれば、文章を書いていても、ぶれることなく、伝えたい事が伝わりやすいと思うからです。

 走林社中主宰である桜井氏は、「文章を書く事」の重要さを何度も説いています。そのトレーニングの一つとして「カシオペイア」がありますが、執筆活動を行なう中ではじめは苦労したものの、文章を書くことが今では嫌いではなくなりました。※でも決して「文章を書くことが得意だ」と言っている訳では有りませんので、そこは誤解しないでください。苦笑
 嫌いでなくなった理由は、「文章を書く」という事は、「落ち着いて、整理して伝えられる」からです。私は人前で話すことがとても苦手です。緊張して舞い上がってしまうタイプなので、話している内にパニックに陥り、自分で何を伝えたいか、分からなくなってしまう時もがあります。結局、伝えたい事を伝えきれないまま自分の話す時間が終わってしまう事もしばしばあります。特にコロナ禍において、オンライン上で会話する事が増えました。話し出すタイミングを逸してしまう事も多く、話す時間が限られているので、なおさらです。


 しかし、文章を書くという作業は、時間に余裕を持ち、何度も再考する事が出来ます。もちろん、「感情が乗るので伝えやすい」といったように、口頭には口頭の良さも有りますが、自分の考えをしっかり整理して、落ち着いて伝えられるという点では、文章を書いて伝える事のメリットも多くあるのではないでしょうか。その利点に気付いた時から、私は文章を書くことが嫌いではなくなりました。

 また、文章を書くという事が、結果として人前で落ち着いて話すことにも繋がるという事に気付きました。それからは、人前で何かを話す前には、話す内容を文章に書くことが習慣になりました。文章を書く過程の中で、頭の中は整理され、整理された内容は、必然的に人に伝わりやすくなります。 
我々、自然体験活動に関わる人間は、多かれ少なかれ人に何かを「伝える」立場にあるのではないでしょうか。そうあるならば、やはり「伝える」という事を他の業種以上に大事にしなければいけません。いくら良い事や、社会にとって必要な事を実践していても、それが対象者や社会に伝わらなければ、その影響力が小さくなってしまいます。少しドライな言い方をすると「伝わってナンボ」です。


 だからこそ、私は、「どうすれば伝わるのか」を問い続け、伝わりやすくする為の努力をしなければならないと思います。その努力の1つが「文章を書く」という事だと思います。いきなり長文を書くことはとてもハードルが高いです。短文でも良いので、職場や、家庭で誰かに何かを伝える際にでも、一度文章にしてみてはどうでしょうかもしかしたら、今までとは違う伝わり方をするかもしれませんよ。 

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