コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第95号
指導者の表彰と、組織評価
桜井 義維英
2022.3.16
国際自然大学校を設立してから、ほぼ40年がたちます。
この40年で、自然学校を名乗る団体ばかりでなく、自然の中で体験活動を提供する団体が、多く設立されてきました。
今は、数千の自然学校とそれに類する団体が存在すると考えられます。
2000年に自然体験活動推進協議会の事務局長をしていた時に、300からの団体をネットワークしました。
その当時は「300もの団体をネットワークした」と、少しは自慢できるかなと思っていました。
しかし、そのあと、千葉自然学校で引き受けた千葉県立大房岬少年自然の家をお預かりしたとき、千葉県内の自然学校をネットワークしました。その時70弱の団体をつなぎました。
千葉県で70団体あるなら、全国で300団体であるはずがないと、思いました。
そうなんです。東京から見える全国各地の団体は、相当目立つ団体なのです。
地域でコツコツ活動している団体は、東京からは見えていないということを痛感したのです。
各県の団体を50団体と見積もっても、47都道府県で2350団体存在することになります。
環境省のサイトでも1255団体が掲載されています。
青少年教育施設も、国立青少年教育施設振興機構の調査では400以上あります。
そして、ボーイスカウトは全国に3325団あり、ガールスカウトはおおよそではありますが、955団あります。
その他にも、子ども会とか、青年団とか、同様の活動をしている団体はあまたあります。
しかし、このような団体が社会に認知されているとは、とても言えません。
このような団体が、よい活動をしているならば、社会に紹介し、光を当て、認知してもらわなくてはいけないと思っています。
そのための評価制度を、モモの部屋のメンバーでもある、國學院大學の青木先生とほぼ完成させていたのですが、このコロナ禍で頓挫してしまいました。
ギガスクール構想とかで、子どもたちが皆タブレットやPCを持ち、勉強はみんなそれで行われるようになる時、実際の体験をもとに物を感じ考えることができるようにするための活動は、IT時代における大切な部分だと思っています。
車で言えば、右のタイヤと左のタイヤのようなものでしょうか。
同じように、そこに所属する指導者に対しても、光を当てないといけないと思っています。
自然体験の世界では、団体の力はもちろんですが、そこに所属する指導者が、参加者をひきつけていることも事実です。
極端に言うと、指導者が団体を移動すれば、その指導者を追って、参加者も移動するということを聞いたこともあります。
自然体験関係の団体が2000あるとしたら、そこに平均3人の指導者がいるとしても6000人。ボランティアを含めて各団体10人とすれば、2万人もいることになります。
ボーイスカウトでは46409人、ガールスカウトは公表されていませんが、ボーイスカウトと同じような比率でいるとすれば、13000人余りの指導者がいると思われます。
そんな人材にも光を当てたいと思いました。
こちらは、日本ゴアテックスさんのご協力を得て、ジャパンアウトドアリーダーズアワード(JOLA)として、表彰制度を作り上げることができました。
団体の評価によって「この団体は間違いのない団体である」ということを裏付けてあげる。
そして、組織的にしっかりした団体でなくても、そのような評価をとれるような指導者が表彰されるような人ならば、これもまた、裏付けになると思っています。
その裏付けとは、地域社会で寄付を受けたり、仕事をご一緒するときのためのものです。
逆に、地域の中では、社会貢献をしようとか、子どものための活動を支援しようとか、自然環境のために活動をしようと思ってくれている会社がたくさんあるでしょう。しかし、どのようにすればいいかわからず、地域の関係団体もわからないということが多いのではないでしょうか。
そんな地域の会社と、地域で活動をしている団体を結びつける役割を、アワードや評価制度が役に立てばいいなと思っています。
すでにアワードは、地域と結びつき始めています。
しかし、団体の評価による結びつけはまだできていません。
もちろん、ボーイスカウトや、ガールスカウトの活動にも、子ども会の活動にも、何とかもっと光を当てることも考えなくてはいけないでしょう。
地域で活動している団体としては、同じ思いで活動をしているのですから。
今までは、自然学校、ボーイスカウト、ガールスカウト、子ども会と、その組織によって、全国団体のピラミッドを形成してきました。
しかし現代は、お互いがきちんとした活動をしているということさえわかれば、地域でつながり、協力して、地域の特性を活かした活動をしていく時代なのではないでしょうか。
地域で、同じ思い、志で活動している団体が、緩やかに連携し、必要な時は協力していくような形にできればと思っています。