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コラム『カシオペイア』(アーカイブ)

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第28号
答えはどこにあるのか
稲松謙太郎(NPO法人国際自然大学校)

2020.10.28

想像してみてください。
あなたの目の前に2組の親子がいます。片方をA、もう片方をBとしましょう。2組の親子の前には、大きな水たまりができています。
最初に、Aの子どもが水たまりで遊ぼうとしました。しかし、親は水たまりでは遊んでいけないと子どもを制止しました。
今度は、Bの子どもが水たまりで遊ぼうとしました。親は止めるどころかニコニコしながら子どもが楽しむ姿を見ています。

どちらの親の行動が正しい答えだと思いますか。

どちらの親の行動もひとつの答えです。正しいか正しくないかという尺度では、はかることはできません。しかし、どちらかと聞かれると片方を選んでしまうことが多いのではないでしょうか。
そもそもこの話の内容では、選ぶにあたっての情報が不足していたと感じる方もいたと思います。与えられた情報に自分の経験や趣味趣向をプラスして考えた方もいたと思います。
子どもが主体的に楽しむのは?
五感を使って体験しているのは?
着替えを持っていないとしたら?
子どもの体調が優れないとしたら?
それぞれの条件によって出す答えが違ってきます。
さて、新型コロナウイルス感染症の流行によって、多くのことが変わりました。
メディアを通して毎日たくさんの情報が流れてきます。コロナと共に生活する新しい生活様式の中で、さまざまな判断に迫られ、「正しいのか、正しくないのか」どうしたらいいのかわからない日々が続いている方もいると思います。まさに「水たまり」と「親子」の状態です。我々自然体験活動指導者も、その波にのまれています。今までバスの乗車定員にあわせて参加者を募集していたキャンプは、密を避けるために実施しづらくなりました。今はそれよりも、数組のファミリーを対象にした小規模のキャンプの方が、安心して参加できる企画なのではないでしょうか。そして、自然体験を使った教育活動を前面に押し出して来た事業は、視点を変えて余暇活動からアプローチしていく事業に変化していくのかもしれません。
自然に癒やされ、感動し、自然や人との関わりの中でさまざまなことを学ぶという根本は変えずに、今までとは違った方法を考え続けることが必要だと感じています。

コロナ禍で、さまざまなことをもう一度見直す機会が増えています。おかけで、いつもより丁寧に自然や自分と向き合うことができていると思います。
新たな発見や気づきをより充実した自然体験に変え、みなさんと楽しんでいける日々を迎えられるよう、答えを探し続けていきます。

2020年10月28日記
稲松謙太郎


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