コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第52号
ユニバーサルキャンプを考えながら
稲松 謙太郎(NPO法人 国際自然大学校)
2021.4.28
今年は、日本キャンプ協会が発足して55周年です。9月に静岡県にある朝霧野外活動センターで55周年記念事業が2泊3日で行われる予定です。
その記念事業と平行して「ユニバーサルなキャンプ」を企画しています。これは、「スペシャルニーズキャンプネットワーク」の方たちと実現させたいという想いで動き出しました。
誰でも参加できるような準備がされたキャンプを目指しています。
「自然・時間といった資源を、誰もが享受する権利がある」「障害、貧困、差別などで阻害されがちな人にも届けたい」という想いがあり、対象者に対して、体験の場を創ることがひとつの機会になればいいという考え方で進めています。
先日、その話し合いの中で、ドキッとすることがありました。それは、キャンプを企画する中で内容を考えているときのことです。ニーズに特化したキャンプをしてきたメンバーは参加者の活動できる範囲をよく心得ています。だからこそ「ユニバーサル」を考えたときに、リアルな参加者のことが頭に浮かび、「この企画は難しいかな」「これはできないんじゃないかな?」とフィルターを掛けてしまうような発言がありました。。キャンプを企画する上では、さまざまなことを想定し対象者を理解した上で企画するのが当たり前ですが、、「ユニバーサル」という切り口でその企画を考えてしまうと、可能性を狭めてしまうのだと思います。
意識しないうちに、自らの考えによって可能性を狭めてしまっているのだろうと、改めて自分をふりかえる気づきになりました。
自然体験の無限の可能性を信じるからこそ、そのことをきちんと意識し、日々過ごしていこうと思った機会でした。みなさんと意見を交わし、切磋琢磨しながら、更なる未来を探り続けたいと思います。
4月28日 記
稲松 謙太郎
No.1 ロッキー
すごくいい企画ですね!体験の格差は、本当に至るところにあるので、是非!頑張ってください!応援しています(^^)
障害やさまざまな境遇によって、この日本では差別を受けたり、支援が充分になされない、こびり付いた何かがあることを感じます。
以下、障害のある方たちとのことについて思うところです。
幼少期には、子ども達自身は何の差別もなく、障害のある彼らと純粋な気持ちと態度で接している様子を見ます。
もちろん支援は必要ですが、でもそこに、大人達がクラスを分けたり、病名をつけたりする事で、あるときから子ども達も、「自分とは違う」というレッテルをはるようになってしまうのではないでしょうか。
個人的な考えですが、無論公的な支援は必要ですが、特別扱いをすればするほど、格差が生じると思います。幼少期からずーっと、分け隔てることなくいっしょに過ごすことが自然なことになれば、格差による問題は質の違うことになるように思っています。
公的には、どうしても分けてしまっている現状なので、互いに交流することの機会が幼少期からキャンプや自然体験、さまざまな非政府組織の働きが重要だなと感じています。
なので、ユニバーサルキャンプは、よりよい社会になっていくためには非常に大切な機会になると思います。
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