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コラム『カシオペイア』(アーカイブ)

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第57号
外での料理
桜井 義維英

2021.6.2

キャンプなどで自然の中に出かけ、野外で食事を作るというのは、醍醐味のひとつですよね。
家とは違う環境で、家ではできないような料理を作る、これはドキドキしますし、ワクワクするものですね。
ですから、家ではできないような料理をするのが楽しいと思います。

さて、私たちが行う活動の中での野外料理は、子どもたちにとって、どんな楽しみがあるのでしょう。
まず思いつくのは、みんなで協力して料理を作る。そこでいろいろな工夫や努力をすることでしょう。
ご飯を炊くことひとつとっても、飯盒で炊く、お鍋で炊く、おかまで炊く、竹筒で炊く、耐熱性のビニール袋で炊くなど、千差万別ですよね。
それも、コンロで炊くこともあれば、薪で炊くこともあるでしょう。
薪で炊くとしたら、かまどは自分たちで作るのでしょうか、備え付けのものがあるのでしょうか。

しかし、そんなふうに、ご飯づくりにかかる前に、もうひとつ、どんなものを作るかと考えることも楽しみのひとつになるでしょう。
みんなで相談して、何を作るか決め、その料理に使う材料や調味料を考えるのは楽しいものでしょう。
そして、条件が許せば、自分たちで買い物をするというのも楽しいことです。
スタッフが事前に材料を用意しておいて、それを使って何を作るかを考えるのも面白いかもしれません。
「小麦粉を使った料理を考えよう」などというのも面白いかもしれません。

このように、メニューを考えたり、作り方を工夫したりすることは、とても創造的な活動といえるでしょう。

野外での料理は、非日常の活動ですから、その食べ方についても非日常的な活動であってもいいのかもしれません。
例えば、立ったまま食べるとか、なんとなく食べ始めて、なんとなく終わるというような食事の仕方も許されるかもしれません。
各グループがいろいろな料理を作り、屋台風にお店を出し、みんなで他のグループを回って、お祭りのように買い食いを楽しむということも楽しいかもしれません。

この屋台風のお店のことですが…
その店構えをどのように作るかとか、テーブルとか椅子とかをどうするかとか、お店に関連する物を作り上げる工作を事前に行うのも楽しいでしょう。
この工作で、組み立て式の椅子を自分たちで作るとか、ベンチのようなものをみんなで作るというのでも良いでしょう。
そのように発展していくと、家でいうところの、リビングとキッチンを、キャンプの中で作り上げていくというのも、ひとつの活動として行ってもよいのかもしれません。

私が子どもの頃は、竹やロープを使ってロープワークを駆使して作ったものです。
それもよいですが、現代的工作を考えれば、電動ドライバーと木材などを使って、ちょっとおしゃれなものを作っていくというのでもよいかもしれません。

キットのように、材料を用意しておいて、みんなで協力して組み立てていくということでもよいかもしれません。
組み立て、解体ができるように、ボルトとナットで止めるような、キッチンダイニングキットなんてあってもいいかもしれないですね。
もちろん市販でもそのようなものはありますが、大人数の子どもたちが、キャンプで一度に包丁を使ったり、大きなお鍋を使ったりすることができるようにするためには、ちょっと工夫が必要なのかもしれません。

かまどなども、もっと研究したいと思います。
耐火煉瓦を組み上げて、こねた土を塗ることで、昔使っていたようなかまどを作ってみるのはどうでしょうか。
使い終わったら、全部砕いて片付けていくのもよいでしょう。
そこでは、羽釜のようなおかまを使うことになれば、日本の文化に触れることができるようになるでしょう。
そのようなかまどではなく、ストーブのようなものを使って料理をすれば、食事の時、そのストーブをみんなで囲むことができるかもしれません。
冬のキャンプなどではよいですね。

このように、野外料理の可能性はまだまだあると思います。
今までしていたからと、飯盒炊飯を続けるのではなく、何のためにするか、何を子どもたちに考えてほしいか、感じてほしいかを考えたうえで、そのためにはどのような野外炊事をすればいいかを、もっと真剣に考えてはいかがでしょうか。
繰り返しになりますが、
食事を作るだけではなく、その場所を作る、文化を知るといった、たくさんの可能性のある野外料理をもう一度、自然体験の中に大きく位置づけ、時間もたっぷりとってチャレンジしてはいかがでしょう

私たちは、40年ほど前、食事の支度などに時間を取られることなく、もっとプログラムに時間を使いましょう、お昼はお弁当でもいいでしょう…ということを提唱しました。
しかし、子どもたちが家庭の中で、あまり食事を作ったりすることが少なくなった今、食事に興味を持ち、作る楽しさや、生活環境を整える体験に時間をかけることを、もう一度考えてみる時期なのではないでしょうか。

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