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コラム『カシオペイア』(アーカイブ)

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第86号
大人のイニシエーション
小澤 潤平(NPO法人国際自然大学校)

2022.1.12

 前回投稿した、第74号カシオペイアでは、「冒険手帳のすゝめ」と題し、子どもにとってのイニシエーション(通過儀礼)とそれを行うための、計画を「冒険手帳」にしたためて実践してみましょう。という提案をしました。今回は、子どもではなく、大人向けのイニシエーションは何だろう?ということをテーマに考えたいと思います。


 まず、皆さんは「何歳までに何をしたい!」とか、「いつ○○をしたい」と考えたことがありますか?過去を振り返ると、「あの時、○○をしておけばよかった」というような後悔や、未来に向けて「○○したいから、そのために今○○をしている」という計画的な方もいらっしゃると思います。私自身は、どちらかといえば、計画を立てつつ、楽観的にそこに向けて進んでいき、回り道をしながらも計画達成していくタイプのため、後悔はあまりせず、行動し実施していくようにしています。そのため、キャンピングカーに乗って子ども達と遠距離の旅行をするといった豊かな思い出作りや、結婚を含めたライフイベントなど、自分で設定した目標は達成しています。そんな風に、なるべく目標を達成できるように計画を立て、自分自身が目指すゴールに向けてやるべきイニシエーションを考えるようにしています。
 こう思うようになったのも、ある逸話を聞いたことにより、さらに自分自身のイニシエーションを置くようになりました。その話の内容は以下となります。
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大学の授業で、教授が学生たちに大きな瓶を教壇において話を始めました。
「皆さん、問題です。」
すると教授は、瓶の中にいくつかの大きな石を詰め始めました。瓶がいっぱいになると。
「この瓶は満杯ですか?」と学生に問いかけます。
学生は「はい。」と答えました。
すると教授は、砂利の入ったバケツを瓶の中に、いっぱいになるまで流し入れました。
そこで教授は「この瓶は満杯ですか?」と学生に再度問いかけます。
学生は「はい、これで満杯になりました。」と答えます。
今度は、教授が砂の入ったバケツを、瓶いっぱいに入れました。
「この瓶は満杯ですか?」と学生に問いかけます。
教授の3度目の問いかけに学生は「はい、いよいよ満杯になりました。」と答えます。
すると教授は、おもむろに水の入った水差しを取り出し、瓶になみなみと注ぎます。
教授は「私が何を言いたいかわかりますか?」と学生に問いかけます。
学生は笑いながら「どんなことも、詰め込めば何とかなるということでは?」と回答しました。
教授は「いや、違います。」と言います。続けて。
「この瓶に大きな石を入れようと思ったら、『最初』に入れなければならない。砂利や砂が入った後は、大きな石を入れることができないということだ。君たちの大きな石はなんでしょう。人生にとって真に大切なことを後回しにしていたら、その時にはもう遅いのだ。重要性の低いことから始めていたとしたらそれは間違いで、その行為は一番大切なものを失うかもしれない。」
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 この話は、『大きな石理論』と言われるものです。私がこの話を聞いて、「豊かなことを優先して行うこと」や、「自分が掲げるミッションの上でこれは通るべき経験だ」と感じることは、スケジュールにいれたり年齢ごとに通るべきイニシエーションとして設定をしています。
 私が今後設定しているイニシエーションは以下のようなことがあります。
【歩くこと】
・2022年3月31日(2021年度終わり)までに本州横断分(糸魚川~富士山経由田子の浦間)の総距離316kmを散歩で歩く(3.5km/日)
・2022年6月18日(妻の誕生日)までに本州半分縦断(青森~東京日本橋間)の総距離697kmを散歩で歩く(3.8km/日)
・2022年12月31日(2022年の終わり)の終わりには、本州縦断分(青森~下関間)の総距離1550kmを散歩で歩く。(4.2km/日)
・2032年(10年後)までに、上記のレースに参加する。本州横断(ゼロフジゼロ)、本州縦断(本州縦断フットレース)。
・2045年までに世界一周4万kmの道のりを散歩で歩く。(1年で本州縦断の1600㎞を毎年歩く)
【旅をすること】
・2022年12月までに3県境をめぐる旅を始める(東京の三県境をめぐる)。
・2033年(45歳)までに、百名山を登る
・2034年(47歳)までに、47都道府県は踏破する。
・2035年(48歳)までに、48か所ある3県境の旅を終える。
【海外に行くこと】
・2026年(38歳)までにセブンサミットのオーストラリア・コジオスコを登頂する。
・2028年(40歳)までにセブンサミットのタンザニア・キリマンジャロを登頂する。
など。


各カテゴリーで、自分自身で人生のゴールに至るまでに、チャレンジしたい事柄をまとめています。子どもや青年に対してのイニシエーションとは少し意味合いがかわってくると思いますが、イニシエーションとは、「今の状態から新しい状態に変化させるために課す儀礼を指す」と辞書にはあります。こう考えると、大人から子ども達に向けての成果目標の設定ではなく、自分自身に成果目標の設定を課すという意味では、同じことが言えると感じます。
 私が考えるイニシエーションとは、「人生を豊かに生きていくために、新しい自分に変わっていく行為」ととらえます。皆さんも自分自身が新しく成長していくためのマイルストーンに、イニシエーションを設定してみてはいかがでしょうか。

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