コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第51号
子どもの故郷を作るキャンプ
桜井 義維英 【4月26日20:00~の作戦会議の話題となります】
2021.4.21
キャンプはなぜするのでしょうね。
まず、キャンプに参加するお子さんの家庭はどんな家庭が多いのでしょう。
ほぼ都会の人たちなのではないでしょうか。
例えば、東京に住む人たちは、故郷がない人が多くなってきています。
かくいう私も同じです。
父の故郷は群馬県の富岡市ですが、そこにはもう誰も親戚とかはいません。唯一お墓があるだけです。ですから年に一度、お墓参りには行きますが、それもまっすぐ行って帰ってくるという感じです。
そんな風に田舎がない人が、都会には増えているのではないでしょうか。
さてここで、ちょっと違う話をしましょう。
日本人にとっての自然というのはどんな風景でしょうか。
きっと、鎮守の森だったり、田植え後の緑の田んぼだったりなのではないでしょうか?
もしかすると、裏山の雑木林かもしれませんね。その雑木林の中を流れる小川とかでしょうか。でも実はその小川は、農業用水だったりするのかもしれません。
そうなのです。日本人の自然観というのは、西洋の人たちの原生自然を思い浮かべる自然観とは全く違い、人と自然が上手に入り混じった風景なのではないでしょうか。
ですから、守るとか破壊するといった発想ではなく、上手にお付き合いしていくのが自然なのではないでしょうか。
すなわち、日本人にとって故郷というのは、その自然観を醸成する大切な要素なのだと思っています。
その故郷がなくなった今、自然を大切にしたいという思いが日本人の心の中から失われ始めているのではないでしょうか。
そうなると、今まで人間と自然が上手に調和してきたものを、破壊していくことに躊躇しない人間が生まれてきてしまいます。
今までは、故郷というものが自然に、自然と上手に付き合うということを教えてくれていましたから、学校教育の中にその教育の手法は確立されていません。ただ「自然を大切にしなくてはいけない」と文章として教えるだけのことが多いようです。
そんな時、私たちが行うキャンプは、この故郷を手に入れるとてもいい手段なのではないでしょうか。
私たち…というのは、自然学校の桜井であるとともに、ひとりの大人としても思うのです。
ご家庭でキャンプをするときは、快適なキャンプ場に行くことよりも、毎年同じキャンプ場に通い、その自然の変化を感じ、できれば、地域の自然に触れあうような活動ができたらいいですね。
地域の農業や林業、漁業などを体験することができたらいいと思います。
そして、地域のお年寄りなどとも交流することができたら、故郷のおじいちゃんやおばあちゃんのような繋がりができるのではないでしょうか。
そんな風に、第2の故郷になるようなキャンプ場を手に入れることができるといいですね。
故郷というのは、いつ行っても温かく迎え入れてくれるものです。
ですから、いつでも行けるキャンプ場を手に入れることがいいのではないでしょうか。
そして、いつの日か、子どもたちだけでそのキャンプ場を訪れる日が来るでしょう。
まさに『かわいい子には旅をさせろ』ということなのではないでしょうか。
そんな時、キャンプ場のスタッフや地域のおじいちゃんやおばあちゃんがちゃんと面倒を見てくれる、そんなキャンプが作れるといいのではないかと思っています。
まさに心の故郷、第2の故郷なのです。
さて、翻って、地方の田舎に住む子どもたちはどうなのでしょう。
都会の子どもたちと同じで、故郷は自分の家ということがほぼ当たり前になっているのではないかと思います。
そして、今、自分の住む場所に、自信というか、誇りを持てないでいるのではないでしょうか。
ですから、その子たちには自分が住まうところに誇りが持てるようにしてあげなくてはいけないのだと思います。
そのための方法は、残念ながら誰も考えていないのではないでしょうか。
もし、そんなキャンプをしている方がいらっしゃれば教えてほしいと思っています。
唯一、ある先生から昔、田舎の子どもたちを都会でキャンプさせてみろといわれたことがあります。
これはひとつのキーワードなのかもしれないと考えています。
さて、皆さんはどうお考えでしょうか?
2021年4月14日記
桜井義維英
No.1 桜井義維英
4月26日20:00~『作戦会議』
ZOOMで行います。
https://us02web.zoom.us/j/86490213033?pwd=bW1LeXRUeDZ3T3NaZGJsK1VoRDZMZz09
ミーティングID: 864 9021 3033
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