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コラム『カシオペイア』(アーカイブ)

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第41号
防災教育の考え方の整理
桜井義維英

2021.2.7

だいぶ前になりますが、子どもが、ゴルフ場の調整池に張った氷の上で遊んでいて氷が割れてしまい、はまって亡くなったという事故がありましたね。
氷が割れるなんて、ちょっと考えればわかるだろう…と思ったのですが、実際にはちょっと考えてもわからなかったのでしょうね。
そう、私の持っている「危ないと感じる力」を、この子は持っていなかったということです。
では、このような子どもを、私たち大人はどうしたら事故から守ってあげることができるのでしょうか。
危険なところにはフェンスを張って、入れないようにするのでしょうか。
○○をしてはいけない、○○は禁止、と、危ないことから子どもを遠ざけるのでしょうか。

しかし…最も危険な状況からは、絶対に遠ざけることができません。それは、天災です。最近増えている、ゲリラ豪雨、大型台風、台風並み低気圧、ドカ雪、そして大地震。
いつどこに襲い掛かってくるかわからない天災に遭った時、子どもをそこから遠ざけることができますか?
いま私たちが、子どもたちにしてあげなくてはいけないことは、子どもを危険から遠ざけることではないのです。
子どもに、自分で自分の身を守ることができる判断力と、技術を持たせることなのです。

しかし、それだけではありません。
自分の身を守ろうとしても、これでもかと災害が襲い掛かってきたとき、命の大切さを知り、命を守ろうと懸命に努力する思いを持たなくてはいけません。これは、他の人を助けることになった時も同じです。その命を守ろうという思いが強くなくてはいけません。
今申し上げたように、災害の時には、他の命を守ろうとすることに、往々に遭遇するでしょう。
特に中学生や高校生において、その若さと体力は、多くの場面で頼られることになるでしょう。
その時、災害の中で力を発揮できる技術も必要なのです。

少し整理してお話ししましょう。
今の子どもたちが、身につけなくてはいけないことは、
「命の大切さの教育」
命の大切さを心から思うようになること
「安全教育」(自分の身を守る教育)
自分の身を守ることができる判断力と技術
「被災教育」(災害の中で皆で生き抜く教育)
他の人を助けてあげることができる体力と技術

この3つをまとめて、『防災教育』とするといいのではないでしょうか。
この3つをいかに体験型の教育活動に作り上げていくかを、これから考えていきたいと思っています。
もちろん、私だけではなく、多くの人の知恵を借りないといけないでしょう。
宗教関係の方や、自衛隊や警察関係の方とかにも、お力を借りたいと思います。
そんな方をご紹介いただけると嬉しいです。

2021年1月21日記
桜井義維英


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