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コラム『カシオペイア』(アーカイブ)

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第29号
ベランダのペンキ塗りは幸せな時間です
桜井義維英

2020.11.7

秋の風が吹いています。
ベランダの向こうにあるジューンベリーの木の葉が、かさかさと音を立てています。
その枯葉が、べランダに舞い落ちます。
畑仕事もだんだん少なくなってきました。
このあとはトマトのハウスの片づけと、ピーマンやナスが枯れてきたらその株を抜いて、耕します。とはいっても、夏に比べればぐっと楽になりました。

 そして毎年この頃になると、ベランダの防腐剤入りのペンキ塗りをしなくてはいけないな~と思い始めます。
国際自然大学校にいる時、そして国立赤城青少年交流の家にいる時、ベランダの手入れは、マメにしないと腐ってしまうということを学びました。
おかげで我が家のベランダは、年に1度はペンキ塗りをするようにしています。

 そのペンキ塗りをしていて、いつも思い出すのは、国際自然大学校の日野春校を立ち上げた時に、まず、みんなで小屋を建てたことです。キャンプ場の管理棟として作った小屋ですが、『モモの部屋』と命名しました。
今の私のオンラインサロンの名前の由来でもあります。
この小屋は、みんなでのこぎりや金づちを振るって建てました。
お金もなかったし、自分たちでするしかなかったのです。
でも、幸せだったような気がします。
毎週のように、みんなで山梨に行って、ああでもないこうでもないと夢を語り合いながら、コツコツと小さな小屋を建てていきました。

 今、自然学校の職員の皆さんは、そんな幸せな時を過ごしてくれているでしょうか?少し心配になります。
自然学校というところは、経営的には決して効率のいい商売ではないと思います。もともと教育というのは、もうからない商売なのですよね。
そのかわりといってはなんですが、大きな会社で働くようなストレスを抱えることはない。
子どもや、参加者だけでなく、スタッフたちも、楽しい時間を過ごすことができる。
お金がなくても『幸せだ』と感じる生活ができるのが、自然学校なのだと思うのです。
皆で、ベランダのペンキをワイワイガヤガヤ言いながら塗るような…そんな時間を持てるのが、自然学校なのではないかな…と、思います。
このコロナ禍の中、特にそう思えてならないのです。
国際自然大学校のように大きな自然学校を作ってきて、いまさら何言っているのだと言われるかもしれません。
しかし、だからこそ申し上げたいのです。
このコロナ禍を乗り越えた先にあるのは、みんなで自分たちの暮らしを作りながら、子ども達を育てていくような自然学校の姿ではないかと思っています。

20201029日記
桜井義維英

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