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コラム『カシオペイア』(アーカイブ)

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第32号
今求められる自然体験指導者とは?
小澤潤平(NPO法人国際自然大学校)

2020.11.28

 こんなタイトルにすると、仰々しく聞こえますが、コロナ禍でキャンプのスタイルも変わりつつある今、しっかりと考えなばならないことだと感じるのです。

 新型コロナウイルスの蔓延により、デジタル社会の数年先が、一気にやってきたという感覚があります。つまりは、テレワークなどの多様な働き方が認めらえ、自宅にいる親が増えて、子どもとの遊びが多様化してきた気がするのです。毎週ショッピングセンターに行っていたような家族も、この感染症が流行している今、進んで商業施設に行こうとしていません。その反面、アウトドアでの活動は増えていて、1人当たり10万円の給付金をもらい、お金に困っていない世帯はキャンプ用品を買い込み、ここぞとばかりにアウトドアに切り替えています。子どもは外で遊べて、大人は新品の道具に囲まれのんびりできる。そんな現状が、キャンプ場やBBQ施設では溢れています。

 では、私たち自然学校の指導者は、どんな風に振舞えばよいのか。親からは、「わざわざ自然学校に出さなくても、自分たちでできるわよ」そんな声が聞こえてきそうです。

 私は、それはそれでよいのだと思っています。だって、本来あるべき姿は、家庭の中でも積極的に外遊びをして、親が子どもを外でのびのびと育てる。いいじゃありませんか。それは、このコロナ禍でやってきた、いい側面だと感じています。ただ、そこにどれだけ学びがあり、子どもの成長に寄与するのだろう。指導者の端くれとして、そんなことを疑問に思うのです。私たちがキャンプをする中で「キャンパーズファースト」という言葉があります。そのままの意味で、「キャンパーを第一に優先する」という意味です。さて、親子でやっているキャンプは、主体であるキャンパーは親であり子どもです。親は楽しんで、インスタ映えする写真をとり、ピカピカのお気に入りの道具に囲まれて、ゆったりした時間を過ごす。では、子どもはどうでしょう。ファミリーキャンプの多くは、子どもが結構ないがしろになっている気がします。子どもが本当に「ファースト」に扱われている場面は、少ないだろうと感じるのです。

 子どもにちょっと背伸びをさせる経験を与えるには、やはり我々が行うようなキャンプは適しているのだと感じます。我々自然体験活動指導者は、「子どもたちが背伸びするのをお手伝いする」そんな人であるという差別化を明確にし、レジャーのキャンプにはない価値を、しっかりとアピールしていきたいものです。また、レジャーキャンプは違うと分断するのではなく、柔軟に教育キャンプからレジャーに飛び込んでいくくらいの、フットワークの軽さも持ち合わせたいと思います。

 多くの仲間と、こういった議論をしてこれからの指導者像を考えたいです。グランドデザインを描きなおす、良い機会です。ピンチをチャンスに変えていきましょう。

 

2020年11月21日記

小澤潤平


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