日本を、支える人材、けん引する人材、を育てる

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第24号
青少年教育施設の新しい運営方法について
白井 健(NPO法人千葉自然学校)

2020.9.28

新型コロナウィルスの影響で、私たちのライフスタイルや仕事の在り方が大きく変わってきています。私が運営にかかわっている宿泊施設(青少年教育施設)も、例年に比べると宿泊者数が大幅に減少しています。利用される方々の多くは、学校や青少年教育に関わる団体です。すでに来年度の予約も始まっているのですが、例年のような数には戻りそうもありません。経営的な打撃も大きく、厳しい状況が続いています。 

桜井さんのコラムの後で身が引き締まる思いですが、自分なりにこれからの青少年教育施設の運営について考えてみようと思います。 

申し上げたように、青少年教育施設は、学校や青少年教育団体が研修として利用する施設ですが、これからはもっと利用形態を多様にしても良いのではないでしょうか。自粛が長引く中、家族でアウトドアを楽しみたいというニーズが増えているのを肌で感じます。そこで、家族単位で部屋を確保して、安心して利用できるようにしてみるとか。そこに有料の体験活動をパックにして付けることで、青少年教育施設としての目的も果たせるでしょう。

都市部から離れ、地方に滞在しながら仕事をするワーケーションというスタイルも増えてきています。Wi-Fi環境や仕事をしやすい環境を整備して、1部屋を1か月単位で利用してもらう形も良いかもしれません。合間にバケーションとして、主催事業を用意し、参加してもらうことで、体験活動の推進になるでしょう。 施設の立地や地域の特徴によって、色々なやり方があると思います。是非施設職員の方はお考えいただければと思います。

そして、このような一般向けの宿泊受け入れを取り入れることは、自然体験活動や青少年教育施設の認知度を上げていくことにもつながります。

また、宿泊事業のなかでも、学校などの青少年教育団体を受け入れる公的な事業と、それなりに単価設定をした収益的な事業を組み合わせ運営していくことのメリットもあると思います。公共施設=収益を上げにくい、という今までのイメージがありましたが、立地や施設の収容規模を考えると、地域の重要な観光コンテンツになりえます。それらの収益を、青少年教育のための人材育成・確保の費用や、施設整備への投資費用に充てていく形を取れれば、より充実した施設運営ができるのではないでしょうか。そういったサイクルを生み出すことができれば、公的負担を減らしながら、充実した宿泊体験学習を実施できます。

もちろん、そこに管轄の行政機関とのすり合わせや調整が必要になってきます。しかし、今こそ公と民が連携して、新しい青少年教育施設の運営方法を考えていく必要があるのだと思います。

白井 健


コメント

コメントはまだ投稿されていません

コメントを投稿する