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コラム『カシオペイア』(アーカイブ)

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第82号
100日散歩
桜井 義維英

2021.12.8

天台宗総本山の比叡山延暦寺で行われている修行「千日回峰」をご存知でしょうか。
千日歩くというイメージですが、実は7年間かけて行われる修行です。
最初の3年は、100日間1日30キロを歩きます。
ほぼ3日に1回30キロを歩く行が3年続くというわけです。
225の霊場を礼拝して回るそうです。
そして、4年目、5年目の2年間は、年間200日を歩きます。
この5年間で700日を歩くことになります。
この700日を終えたところで、9日間、断食、断水、不眠、不臥で、不動真言を百万回唱える『堂入り』という修行が待ち受けます。
水を飲まずにいられるのは普通3日といわれます。
9日間とは、どれだけの荒行かがわかります。
その後、6年目は100日間歩きます。ただし、歩く距離が60キロになります。昼夜を問わずに歩くことになります。
7年目には再び200日。ただし、はじめの100日は京都市内を84キロの行程で歩き、後の100日は比叡山内の30キロに戻ります。
これで1000日 全行程を計算すると38400キロ。これは、ほぼ地球一周に近い距離を歩くことになります。
これで満行となりますが、その後2~3年以内に100日間の五穀(コメ、麦、アワ、マメ、ヒエの五穀と塩、果物海藻類)断ちの修行をした後、自ら発願して7日間の断食断水で十万枚大護摩供というものをします。

さて、冒頭からいったい何なのだと思われたかもしれませんね。
このとんでもない修行を考えたとき、
堂入りはビバークなのかもしれないと思いました。
そして、100キロチャレンジは、6年目の100日なのかもしれません。
クロスカントリーは、1年目や7年目の比叡山内の30キロでしょうか。
そしてシティーチャレンジは7年目の京都市内を歩くものでしょうか。
しかし、どれも似て非なるもののように思います。
それはそうです。
私たちの活動を無理矢理千日回峰に当てはめたのですから。
そこで、改めて、千日回峰からプログラムを作ってみようと思いました。

名付けて、「100日散歩」です。
1年間で100日、自分で決めた散歩のコースを歩くというものです。
果たして1年というのが適当かどうかはわかりません。
各自がコースを決めるということは、その長さもまちまちになります。
そして、いったいどの年齢層を対象にするべきなのか。

今私が考えているイメージをお話ししましょう。
中学生、高校生以上を対象とします。
距離は約10キロ。大体2時間弱でしょう。
コースは、できるだけ自然環境が豊富なところを選ぶこととします。
そして、コースの中で標高差が50~100メートルぐらいあるといいと思います。
必ず歩道が整備されている道を選びます。
途中、コンビニや駅などのトイレ休憩ができる場所を入れます。
荒天時は無理に歩かないこととします。これは、安全管理、健康管理上そのようにします。
歩く時間を短くする、早く歩くことが目標ではありません。
そこで、いくつかのチェックポイント…立ち止まるようなことを決めたりします。
例えば、
太い木に両手を当てて、挨拶をする。
いつも決まった場所に立ち止まって、いくつか見える風景をチェックする。…雲で見えないとか見えるとか。
信号を必ず1回待つ。たとえ青でそのまま渡れそうでも立ち止まり、次の青で渡る。
ゴミ袋を持って歩いて、自然に還らないゴミを拾って歩く。
自分がいいなと思う詩のフレーズを回数を決めて暗唱する…などです。

ただ、雪国の降雪時などは歩けるかもしれませんね。その地域の事情は十分に考慮しないといけないでしょう。全国平均となりますが、雨が降る日数は1年のうち約50日です。
365日からこの雨の日を引くと約300日すなわち3日に1日歩くことになります。
2日おきということになります。
見方を変えると1年間で52週ですから、毎週2日歩くということになります。
休めるのはお盆とお正月の週のみです。

今はきっと、グーグルマップとかを使えば、自分が歩いた記録が取れるのではないでしょうか。
またはそんなアプリが、きっとありますよね。
それを、歩いた日ごとに、共有していくという方法はいかがでしょうか。
これを事業として実施するには、共有することができ、何かこちらからコメントをすることで可能になるのではないでしょうか。
気候のこと…暑いですかとか寒いですかとか、季節のこと、花が咲きましたかとか、木々が色づいてきましたかとか…そんな自然の変化から、気持ちの移ろいを聞いてあげることが大切なことでしょう。
そして、次はいつ歩きますかとか、明日は頑張りましょうとか。励ましてあげることも大切でしょう。
もちろん、スタッフも歩いた経験が必要でしょう。そしてできれば、同時進行で歩いているといいと思います。

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