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コラム『カシオペイア』(アーカイブ)

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第59号
社会保障制度から得たヒント
関口 千尋(NPO法人 国際自然大学校)

2021.6.16

初めまして。幹事メンバーに名を連ねております、関口千尋です。NPO法人国際自然大学校の管理部に所属しています。普段の仕事は経理・総務を担当していますが、冬場になると趣味と実益を兼ねてスキーを嗜たしなんでいます。そして、先日スキーで大怪我をしてしまいました。今回は、その療養体験を通して気付いた事を綴らせて頂きます。

去る3月スキー滑走中に転倒、右足を骨折してしまいました。手術、約1か月に渡る入院をする事になりました。この記事を読んでいるモモの部屋のメンバーの中には、業務でサポートして頂いた方、ご心配を頂いた方も沢山います。改めまして、この場をお借りして心より御礼申し上げます。

本当に入院生活では様々な方にお世話になりました。特に感謝しても、し尽せないのが看護師さんの存在でした。傷の手当はもちろん、怪我により弱り切ったメンタル面でのケアもしっかり行って頂きました。今回の入院期間は、新型コロナウイルス感染症の関係で家族ですら面会謝絶という状況でしたので本当に有難い存在でした。

私が入院していた病院の看護師さんは、とにかく明るく、テキパキと、そして常に笑顔で働いている方ばかりでした。患者さんのケアなどの通常業務はもちろんですが、飛沫防護グッズの使用など、コロナ対策への気遣いは素人目で見ても本当に大変そうでした。それでも、

看護師さんたちが「あんなに生き生きと働けるのは何故だろう?」そんな風に思ってしまったのは、組織で「総務」という役割を担っているからかもしれません。

ある日、医療費の明細を受け取った際に、医療の世界には「点数制度が有る。」という事から、医療社会保障制度に興味を持ち始めました。

※医療社会保障制度については、下記「診療報酬制度」の部分を参考にして下さい。 https://www.ajha.or.jp/guide/1.html

一人一人が小さな負担を行うことで、結果的に皆で支え合うという構図です。
「医療費3割負担」という言葉を聞いた事が有るかもしれませんが、我々の病院や薬局で支払っている金額の内7割は社会保障制度で賄われている訳です。そして、自己負担3割、社会保障負担7割の合計金額の中で医療従事者の方は対価を得られている事になります。

そこで、今現在の子ども達の状況を鑑み、自然体験活動を社会保障という形で担保することはできないだろうか?という仮説を立ててみました。
この医療の世界における社会保障制度の仕組みを自然体験活動の世界に置き換えてみると、以下のようになります。

患者 ⇔ キャンプ参加者
医療機関等 ⇔ 自然学校等
医療従事者 ⇔ 自然学校等スタッフ
医療費1割~3割負担 ⇔ プログラム参加費1割~3割負担
保険者/審査支払機関 ⇔ 自然学校ネットワーク機関
保険証 ⇔ 自然学校プログラム参加証(仮称)

もし、上記のような制度が成立すれば、自然体験活動に参加する子ども(家庭)はプログラムに参加しやすくなります。自然体験不足の子ども達を考えた時に、体験の確保につながると考えます。そして、自然学校サイドはプログラム参加費以外の安定した売上を上げられることになります。

もちろん、いきなり国や自治体を巻き込んだ大きな制度を作ることは難しいかもしれません。しかし、まずは民間の自然学校が手を繋ぎ、モデルケースを作ることくらいならできるのではないでしょうか。

コロナ禍で全国の自然学校は大きな打撃を受けています。自然学校の運営・存続が難しくなると自然体験活動の提供が難しくなります。自然体験活動の現場を大事にする為に各団体同士が手を取り合い、現場を存続させる。そして、何より子ども達の体験の場の確保をする為にも、そのような仕組みを作っていくことが今後は必要となってくるのではないでしょうか。

NPO法人国際自然大学校
関口 千尋

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