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コラム『カシオペイア』(アーカイブ)

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第40号
自然体験活動×ITを真剣に考える「今求められる自然体験指導者とは?」
小澤 潤平(NPO法人国際自然大学校)

2021.1.28

 走林社中で活動するようになって4年が経ち、2045年という戦後100年の未来に向けて教育を考えるようになりました。こんなことを言うと、「何を偉そうに」といわれるかもしれませんが、走林社中で得た成果がこの「未来から考える」という能力です。

 未来予測という考え方があります。そこでは、社会は今後どうやって発展するか?どんな災害が起こる可能性があるか?そんなことが語られています。その中には、「こうなるだろう」という未来があり、例えば「自動車の自動運転」や「AIにとってかわられる職業」などがあります。こういった観点でみると、ITやデジタルというものは、未来を語るうえで切っても切り離せないものなのです。

 しかし、自然体験活動を語るうえで、ITやデジタルといった文脈が語られることは少なく、逆に対峙するものとして捉えられていることが多い気がします。しかし、文部科学省は「GIGAスクール構想」を教育改革の目玉に据え、2018年からの4年間で1,800億円もの巨額の資金を投じて子ども一人一台のデジタルデバイスを配給し、学校教育は様変わりしていきます。

 では、そこに対して自然体験活動は対峙し続ける教育の場であるべきでしょうか。私はそうは思いません。自然体験活動への文部科学省からの予算は2020年の補正予算で4.5億円となっています。予算が付くだけでも有難いと思うべきかもしれませんが、子ども達の自然体験不足はこのコロナ禍で加速しています。さらに、学校教育の変容や社会の変革を受けて、子ども達はよりスマートフォンやパソコンなどに触れる機会が増え、それらは低年齢化していきます。この状況下で、子どもが子どもらしくのびのびと遊ぶビジョンは想像できません。

 私は、これらの動きに対して振り戻しがあると考えます。それは、保護者の危機感や不安感から自然体験活動に目が向くという考えです。しかし、これも一部の親だけでしょう。では、我々はどうすればよいのか。私は、自然体験活動とITの連携を、真剣に考えるべきだと感じています。発想を転換すれば、我々は子ども達の手元(スマホ)に飛び込んでいくチャンスをつかんだと考えることもできます。

 例えば、アプリやゲームを使って自然のフィールドを再現し、そこで疑似キャンプをしてみる。そこに本物のキャンプもセットで行う。それぞれ別々の場所にいるが、一つのキャンプファイヤーを囲んでプログラムをしてみる。など、これまでできなかったチャレンジが、ITの発達や社会の変革によって、誰もがチャレンジできる状況になりました。

自然体験活動をする団体だから、ITと疎遠になるのではなく、これからの未来予測もしながら、ITを使いこなして子ども達に自然体験の機会を提供するきっかけを増やす努力をすべきだと考えます。そんな挑戦をする、2021年にしていきます。

2021年1月18日記
小澤潤平


コメント

No.1   笹川 陽介

それは本当に私もそう思うところで、でも今までは思っていただけで行動が伴っていませんでした。
もうデジタルクローンなんかも出てきて、人間と会議をしたり、デジタルクローン同士で会話をしたりしている時代。
対立している場合ではなくて、大きな宇宙の流れの中で、未来に何を残していくかを考えて行動していきたいと思います。
私が2年前に立ち上げたNPO法人あそびそだちiLaboの“i”は、愛や合いでもあり、ITやiフォンなどのiでもあります。
そこから逃げない。融合していく。そんな思いを込めています。

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