コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第80号
発信することでインプットとアウトプットについて考えてみました
関口 千尋(NPO法人国際自然大学校)
2021.11.24
先日、走林社中の幹事である、徳田さんに声をかけて頂き、同じく幹事である小澤さん、原田さんと共に野外教育学会第24回大会の自主企画シンポジウム「実践と研究の融合を目指して~現場はこんな研究求めてます~」に登壇させて頂いた体験から気付いた事を綴ります。
まず、今回の発表の準備及び、当日の議論を経て改めて感じたのは以下の点です。
・何かを人に分かりやすく伝えるためには、沢山考える必要が有るという事。
・日頃から、何かを考えている人は、咄嗟の質問にも、すぐに回答も出来るという事。
日頃から、物事を思慮し、発信している人からしてみれば、至極当然の事かもしれませんが、裏方業務が増えてきた私にとっては、改めてしみじみと感じたことでした。
思い返して見ると、学生時代にキャンプリーダーとして自然体験活動の世界に出会い、その後自然学校の職員としてキャンプの参加者や青少年教育施設の利用者と現場にて直接関わってきました。
当時は、キャンプの参加者にプログラムの説明をしたり、スタッフに指示を出したり、青少年教育施設の職員として、施設の利用者に施設や備品のオリエンテーションを行ったりと、沢山の「発信」をしていました。
また、前述のような現場での「発信」以外にも、キャンプが終われば保護者向けの報告書を作成したり、キャンプに関わってくれたスタッフへ、フィードバックのメールを送っていました。
青少年教育施設の職員時代には研修会の講師を行う事も多々有り、自分の想い、考えを伝える資料を作るなど、様々な形での「発信」の機会が多くありました。
しかし2019年から管理部という所謂、事務方に所属した事で、会計ソフトの処理など事務作業が格段に増え、何かを誰かに伝えるという「発信」する場が一気に少なくなっていました。
そんな中での野外教育学会で「発信」を通し、管理部ならではの仕事の中で、インプットしてきた有益な情報を、シンポジウムの参加者に対してアウトプット出来た事で、改めてインプットとアウトプットのバランスについて感じる事が出来ました。
このインプットとアウトプットのバランスが上手に取れていることが、とても重要だと思います。
と言うのも、インプットだけし続けていては、そもそも何かを伝える機会が無くなり、伝える技術やパワーを失ってしまうかもしれません。
そして、なんの為にインプットしているのか本質的な部分を見失ってしまうかもしれません。
また、アウトプットだけし続けていては、発信する内容が枯渇してしまうかもしれません。
情報がアップデートされずにワンパターン化してしまい、伝えたい内容も伝わらなくなってしまうかもしれませんし、伝える熱量の減少にもつながるかもしれません。
視点を変えれば、アウトプットすることにより「もっとインプットをしたい」」という知識欲が生まれたり、発信したことにより頭の中が整理され考えた精錬された結果「余白」が生まれ、インプットする余力が出来るのかもしれませんね。
誰かにアウトプットしたいから、インプットする事を始めるかもしれません。
現在進めている、モモの部屋や走林社中で活動をする場でも、両方大事な事だと思うのです。多くの研修や講習会では、記録を取ったり、傾聴に徹したり「インプット」に集中してしまっているように思います。しかし、モモの部屋のように、インプットする機会だけではなく「集いの広場」をはじめ、互いに思うことを議論できる、会員の皆さんがアウトプット出来る機会が有るという事はとても貴重なことだと思います。感想を述べるという事も大事なアウトプットの瞬間です。SNSで何かを発信することも立派なアウトプットです。それこそ、家族に今日の出来事を伝える事も同じだと思います。
自分でインプットしたものを、自分の中に留めるのではなく、是非、これからもモモの部屋で、互いにインプット、アウトプットを繰り返しながらお互いを高め合っていきたいですね。