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コラム『カシオペイア』(アーカイブ)

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第35号
どこからキャンプ・どこ行くキャンプ
桜井義維英

2020.12.21

12月13日現在、日本でのコロナの最大クラスターは、北海道の旭川病院で281人です。
しかし、世界に目を向けると、ドイツで1400人を超えるクラスターが発生していたことを知りました。(12月13日、朝日新聞朝刊)
安い豚肉を生産するための工場でとのことです。劣悪な環境下で外国人労働者が働き、集団感染を招いてしまったようです。この集団感染で移民労働者が抱える問題が顕在化し、ドイツ政府は、食肉業者の労働者を守る法律改正に乗り出したそうです。

しかし、安い肉を求める者がいれば、その需要にこたえるため、あらゆる方法を駆使して値段を下げようとするのが経済の原理でしょう。その結果、また弱い者にしわ寄せがいくのでしょう。低賃金・長時間労働が、またどこかで起きるのです。
私は、そんな低価格の商品を作り出すために、国内ではなく海外で、この低賃金・長時間労働を強いているのではないだろうかという不安がいつも心のどこかにあります。
そんなことをなくすには、どうしたらいいのでしょう。低価格の裏にある不当労働や、農薬の大量使用などを知り、そのような商品を売らない、買わないという社会的ムーブメントを作り上げないといけないのでしょう。

では、あなたが大手スーパーチェーン店の社長になったとしましょう。
そのスーパーは、フェアトレードの商品しか売らない。適正価格の商品は高いかもしれないが、そこに他人に苦しみを強いることはない商品のみを扱うのです。
…と思っても、正直なところ、私たちは、そんなスーパーの社長にはなれないですね。
しかし、「そんなスーパーを作ろう」とか、「そのスーパーで買い物をしよう」と思う人を育てることはできるのではないでしょうか。

そのために、

『どこからキャンプ』
そのお肉がどこから来て、どのように加工されて、お店に並び、私達が食べるのかを知るキャンプなんてどうでしょう。

『どこ行くキャンプ』
私たちが出したゴミや、排水、うんちが、どこをどんなふうに通って、最後はどんな形になって、どうなるのかを見届けるキャンプなんてどうでしょう。

遠足や社会科見学みたいなものになるかもしれません。
しかし、見たものを実際に使って料理をして食べてみるとか、実際に作る過程に少しだけ参加させてもらうとかができたら、いいキャンプになるのではないでしょうか。
海外の生産拠点の見学までを考えたら、海外キャンプなどもできるのではないでしょうか。

2020年12月13日記
桜井義維英


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