コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第21号
成人式はビバークで
桜井義維英
2020.9.7
海外のキャンプでポピュラーな『ソロキャンプ』…今は、日本でも流行ってきていますね。山の中で、一人で過ごすというキャンプですね。
なんと、山を買う人までいるとか…
そのソロキャンプをもう少し構造的に作りこんだのが、「ビバーク」であります。
どんな風に作りこんだかというと、
●持ち物の制限
特に『時計』は持っていきません。だから何時に終わりということは言えません。
スタッフが迎えに行った時が、終わりの時です。
その他にも、最低限のものしか持っていかないようにします。
●課題
どんな課題かは、企業秘密ですので、詳しくは申しあげられませんが、成人式のビバークの時は、「20年を振り返るような課題を出す」とだけ申し上げておきましょう。
●行動の制限
自分が過ごす山の中の場所も、指定されます。そして、その場所から大きく動くことは許されません。
トイレのことなど不安なことがあるでしょうが、その辺は、場所を決める際に運営側がいろいろと考えていると思ってください。
そんな風に作られた状況を、登山でいう、緊急避難「ビバーク」に見立てたキャンプです。
もちろん一人で過ごすのです。
指定された場所からは、周りに人の姿は見えません。その場所で、何時かわからない中で1昼夜とか2昼夜を過ごしながら、出された課題に取り組むのです。
もちろん生きるために食事もします。
寝床を作ることもします。
そんな長い時間、自然の中に、完全にたったひとりで埋没して、ひたすら考え事をするなんていうことは、人生でおそらく、たった1回でしょう。
以前この短縮版で、大きな公園にある大きな木のそれぞれの根元に、校長先生たちをひとりひとり座らせて、数時間過ごしてもらったことがありました。もちろん時計は、こちらで預かりました。
お迎えに行くと、「本当に素晴らしい時間をありがとう」とか、「人生で初めての体験でした」とか、黙って私に手を合わせる方もいました。
人生の節目である成人の時に、そんな時間を過ごすのはいかがでしょう。
晴着を着るのもよいでしょう。みんなで集うのもいいかもしれません。
しかしこの時、20年を振り返り、この先の人生を展望する大切な基礎をつくる時間にするのもいいのではないでしょうか?
そんなキャンプをお父さん、お母さんが、お子さんのためにプレゼントしてはいかがですか?おじいちゃん、おばあちゃんがプレゼントするのもいいかもしれませんね。
2020年8月28日記
桜井義維英