日本を、支える人材、けん引する人材、を育てる

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)

コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第77号
伝統工芸
桜井義維英

2021.11.3

日本の伝統工芸には、どんなものがあるかご存知ですか?
この伝統工芸品というのは、

・主として日常生活の用に供されるもの
・その製造過程の主要部分が手工業的
・伝統的な技術又は技法により製造されるもの
・伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるもの
・一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているもの

上記5つの項目を全て満たし、伝統的工芸品産業の振興に関する法律(昭和49年法律第57号、以下「伝産法」という)に基づく経済産業大臣の指定を受けた工芸品のことをいいます。
(経済産業省のホームページより)
そして、伝統工芸品は、15業種 236品目が、経済産業省によって指定されています。
15業種というのは、「織物」「染色品」「その他繊維製品」「陶磁器」「漆器」「木工品・竹工品」「金工品」「仏壇・仏具」「和紙」「文具」「石工品」「貴石細工」「人形・こけし」「その他の工芸品」「工芸材料・工芸用具」です。
236品目というのは、
織物なら、博多織や秩父銘仙といった36品目が指定されているのです。
陶磁器なら、益子焼や九谷焼ですね。これは32品目あります。
漆器なら、津軽塗や輪島塗、木曽漆器があります。これは23品目あります。
このようにして、236品目が指定されているのです。
この「伝統工芸品」236品目に登録されていなくても、地域で盛り上げている伝統的な工芸品や民芸品など地域から生まれたいいものは、まだまだたくさんあるのでしょう。

木曽漆器は、塩尻市木曽平沢が中心地です。
そして私は、この木曽平沢にある酒井産業さんと一緒に仕事をしています。
色々なご提案をして、子どものための教材開発をしてもらっているのです。
木曽漆器には30人弱の伝統工芸士の方がいらっしゃいます。
また、酒井産業さんは木育全国生産者協議会の事務局もされています。
全国の木に関係する生産者が、30社加盟している団体です。
このような伝統工芸士さんや、木工会社の方々と協力して、日本の伝統的な工芸品を子どもたちのキャンプで作ったりすることができないかということを考えています。
まだまだ、実現するには至っていないことが多いのですが、写真をご覧ください。

このスプーンフォークの柄は、木曽漆器のひとつの特徴でもある堆朱塗というものです。
木曽の職人さんが塗ったものを、細かなサンドペーパーで削るとこのような模様が浮かび上がるわけです。このサンドペーパーで削る作業を、職人さんの指導で、私がやりました。

こちらは、拭き漆をかけた豆皿に、箔押しという金箔を張り付けたものです。
この箔押しも、職人さんの指導で、私がやらせていただき作りました。
いかがでしょう?
どちらも素敵でしょう?
これは、伝統工芸品とは言えないかもしれませんが、素敵なクラフトだと思われませんか?
山の中から拾ってきたドングリや松ぼっくりで作るクラフトもいいですが、日本の伝統文化を感じることができる工作をするのもよいのではないでしょうか。
そのクラフトを持って帰ることで、子どもたちの行動変容を促すことができればもっといいですよね。

これもまだ実現していないのですが…神奈川県の愛川町に、伝統的ほうきづくりがあります。
「中津ほうき」と言います。
写真は、そのワークショップで作ることのできるミニほうきです。
この写真は中津ほうきのホームページからお借りしました。
この小さなほうきを持って帰って、机の上を掃除したりすることで、ほうきへの価値観が変わり、掃除を考えるきっかけになればいいなと考えています。
それを、子どもたちがキャンプなどで体験できるプログラムに作り上げていくことも大切なことだと思っています。
そのためには、まず、指導者がその伝統工芸を勉強し、体験し、どのようなものなのかを知る必要があるでしょう。
そのうえで、その工芸をいかに簡略化し、子どもたちの体験で作り上げることができるプロセスにするかを考えなくてはいけません。そのためには、伝統工芸士の方々と相談しないといけないかもしれません。
現代的課題としては、価格の問題もあるでしょう。
木曽漆器などは漆の値段が高く、なかなか子どもの工作と言える値段に抑えるのが難しいようです。
しかし、だからと言ってあきらめません。
皆さんの地域には伝統工芸品はありませんか?
それに近い工芸品はありませんか?
それを、子どもの体験教材に作り上げようではありませんか。

コメント

コメントはまだ投稿されていません

コメントを投稿する