コラム『カシオペイア』(アーカイブ)第11号
田舎は結構忙しい
桜井義維英
2020.6.21
梅雨に入って、畑の草がどんどん伸びています。その草むしりをしないといけません。
草むしりの道具のカマや、クワなどは、研いでおかないといけません。
木の枝が伸びてくれば、せん定もしないといけません。素人仕事なので、なかなか時間がかかります。
畑の作物が実れば、収穫もします。最近は小松菜かな。
買い物は、お店までの距離もあるので半日がかりです。
もちろん、自分で食べる三度三度の食事の支度をしなくてはいけません。
そうそう、裏の家のサクランボや、家のイチゴも毎朝のように収穫します。
裏の家のサクランボを採っちゃっていいの?
実は、裏の家の境界を越えて、我が家の方に大きく枝がせり出しているのです。裏の家の方から「どうぞ自由に採ってください」と言われていまして、鳥と競うように採っています。
上の方の枝は鳥たちが、下の方は私が…という具合にすみわけをしています。
そんなことをしていると、田舎暮らしも結構忙しいものです。
本来、暮らしというのはこういうものなのではないでしょうか?
都会で、子どもたちが家にいて、お父さんお母さんも在宅勤務で家にいて、ストレスがたまるというのは、やはり家での生活が「暮らし」になっていないからなのかもしれないと思います。日常の中で暮らすために必要なことを、お金を払って人の手にゆだねているので、いざ家にいると何をしたらいいかわからなくなってしまっているのではないでしょうか。
逆に、都会できちんと自分の暮らしを組み立てようと思うと、それはそれで、何か窮屈というか、暮らしにくかったりするのではないでしょうか?
お金を払って「暮らし」の一部を人の手にゆだねることが自然な形になっている都会で、すべて自分の手で暮らそうと思うと、逆に窮屈なのかもしれません。
今これを読んでいる都会暮らしの皆さん、あえて皆さんに伺います。窮屈な感じはしていませんか?無理をしてはいませんか?生きづらくはありませんか?
もし、そんな風に感じている方がいらっしゃったら、この際です、思い切って田舎暮らしにシフトしてみるのもよいのではないでしょうか?
結構忙しくて、楽しい毎日が待っていますよ。
その忙しさは、お金を稼ぐためではなく、そのお金で買っていた「暮らし」を自分で作り上げる忙しさですから、とっても充実していますし、健康的です。そしてお金がかかりません。
さあ、新しい一歩を。勇気を持って。
2020年6月4日記
桜井義維英