未定稿小説『奥山村物語』43
2020.9.11
会場は夏、冬春のキャンプの企画チームが、裏方として、きれいに片づけてくれていました。
そして、ノートの書き込みが終わった順に、そのノートを発送する準備も手伝ってくれました。
全てが終わったところで、福田さんは、「お疲れ様でした。伝えてある通り、今夜は食事をご馳走します。レストランを予約してありますから、みんなで移動して、お疲れさん会をしましょう。」
「よ~し、食べるぞ~!この、ノートはきつかったからな~」と、とたんに福野君が元気になります。
みんなでワイワイ言いながら、部屋を出ると、なんとなくエレベーターホールにたまっていきます。
すると、福野君が、「違うだろう!階段、階段。腹減らして、レストランにいくぞ~」
みんなは、口々に「いけね~」とか、「習慣って怖いね~」と言いながら、階段を下りていきました。
福田さんが用意したレストランは、食べ放題の焼肉屋さんでした。
みんな大喜びで、盛り上がりました。
次のハイキングの準備をする傍ら、もう夏のキャンプのチームも、準備を着々と進めています。
この日も、福田さんは、夏のキャンプチームとの打ち合わせをしていました。
問題は、第1回のキャンプと、第2回のキャンプの内容を同じにするか、別々にするかということでした。
結論は、ふたつのチームでひとつのプログラムを作り上げるということになりました。
彼らは、日程を調整して、キャンプの準備のために奥山村に合宿をすることになりました。
福田さんは奥山村と、東京を行ったり来たりする生活をしていました。
あっという間に一カ月が過ぎ、次の活動の日を迎えました。
今回は、電車で移動をして、低山のハイキングコースをグループごとにゲームをしながら歩くというものです。
裏方スタッフはすでに先発して、ゲームの仕込みをしてくれているはずです。
朝、子どもたちは、次々にエレベーターで、あがってきてしまいます。
平野君はあわてて、スタッフを一階の玄関に行かせて、階段を使うよう指導させようとしましたが、それを福田さんは止めました。
「自分から進んでそうしなくては、いけないんだ。誰かにさせられるのではなくて、自分の考えで行動してほしいんだ。」
「わかりました。」
平野君は、予定通り子どもたちを集合させていきます。
出発前の階で、福田さんは、もう一度、なぜ階段を使って登ってほしいかの話をしました。子どもたちの中には、バツの悪そうな顔をしている子どもが多く見受けられました。階段を上り下りするのが嫌なのではなく、つい、今までの習慣でエレベーターを使ってしまった子どもが多かったようです。
福田さんは最後に、「さあ、階段を使って、出発しよう」と声をかけました。
今日は誰も体調が悪い等で、エレベーターを使う必要のある子がいないことは、すでに確認済みです。
みんなで元気にワイワイ言いながら、階段を下りていきました。