未定稿小説『奥山村物語』41
2020.8.25
その拍手を福田さんが制して続けます。
「みんなにもう一つ挑戦してほしいのです。それはね、活動の日のお昼ご飯は、みんなが自分でおにぎりを握ってくることに挑戦してほしいんだ。運動会や、遠足などは、お母さんたちが作ってくれるだろう? でも、この体験教室では、お弁当作りも体験してほしいんだ。でも、みんなが競争しちゃいけないから、おにぎりと決めます」
ざわつきが残っているなかを…
あかりちゃんのお母さんが…「いつもお母さんたちに頼まないで、時々は、自分で作ってごらんなさい。月に1回ぐらいならできるでしょう。したことがない子は、今からお母さんたちに教われば大丈夫だから。あかりも頑張ろうね」
と言うと、あかりちゃんが、「うん、私、頑張る」
「よ~し、あかりちゃんが頑張るなら、俺たちも頑張るか~」と、テル君が立ち上がりました。続けて、寛太君も立ち上がり、「みんな、頑張ろうぜ」と、声を上げました。
そんな2人をみんなの拍手が包み込みます。
子どもたちが口々に、頑張るぞ~と声を上げていました。
これで、奥山村こども自然学校は、無事にスタートしたのです。
平野君が、必要な事務手続きを速やかに進めてくれて、解散になりました。
すでに子どもたちはグループ分けも済んでいて、リーダーも決まっていましたので、リーダーたちが、子どもたちを階段に誘導して行きます。
階段で、1階にまで、降りるのです。
お母さんたちは、申し訳なさそうにエレベーターに向かいました。
1階で、お母さんたちに子どもたちを引き渡し、リーダーたちは再び階段で上がってきました。
福田さんはちょっと面食らったように…「いいんだよ、子どもたちが帰ったら、エレベーター使っても」
「いいえ、それじゃあ、子どもたちに何か嘘ついているようで…みんなで話をして、この活動のかぎりは階段使おうっていうことにしたんです」と、平野君が胸を張ります。
「ありがとう、その心意気に感謝するよ。では、とにかく、反省会をしましょう。平野君、続けざまで申し訳ないが、進行をお願いしていいかな?」
「はい、もちろんです。では皆さん改めてお疲れ様でした。まず、谷口君の方から、子どもたちだけの活動の様子を聞きましょうか?」
「では…」と、谷口君が様子を話してくれました。