未定稿小説『奥山村物語』42
2020.9.1
まず初めに、子どもたち全員で、いくつかのゲームをした後、グループ分けをして、リーダーと初対面をしました。
各グループで自己紹介をしたり、ちょっとしたゲームをしたりして、仲良くなっていきました。
その後、みんなで名札を作りました。
最後に、また全員で集まって、ゲームをして、部屋に戻ってきました…」
と、谷口君が、説明してくれました。
「お疲れ様でした。全体の感触としては、どんな感じでしたか? と、聞くまでもないですかね…最後の福田さんへの提案の反応を見れば。」
「はい、ですが、昨年夏のキャンプに来た子と、そうでない子にちょっと温度差があるのが気になりました。」
「そうか、確かにそうなってしまうかもしれないな。そのへん、感じたことはあるかな」福田さんは皆を見回しながら言いました。
今野さんが「確かに…あかりちゃんは、今度は私のグループではないのですが、私に親しげで、初めての子たちが、ちょっと嫌そうな顔しちゃったときもあったかもしれません。私も気を付けないといけないかもしれません。」
「あかりちゃんは…」
「僕のグループです。」と、大山君が小さく手を上げました。
「よし、がんばって、あかりちゃんを大山君ファンにしてくださいね。」と、福田さんは笑いながら言います。そして、
「大丈夫、これが、1年間続けるよさでしょう…少しづつ、子どもたちを変えていきましょう。焦らなくていいです。」
そんな風に、各グループの様子を聞いた後福田さんは、
「では、みなさん、リーダーノートを書いてください。」と言うと、平野君が小さめのノートを配り始めます。
リーダーは腕まくりをして、ひとりひとりの子どものことを、その日の様子を書きはじめました。
その様子を確かめると、福田さんは
「平野君、谷口君、この間に運営について、今日の振り返りをしてください。」
「はい」
伊藤さんも含めて、3人で、部屋の隅に行き、小さな声で、話を始めました。
逆に、リーダーたちは、しんと静まり返っています。人によっては頭を抱えています。
「なかなか難しいですか?」
「ええ、いざ、ノートに向かうとどう書いていいか…結構苦戦しますね。」福野君が、つぶやくように言います。
どれどれ…と福田さんがアドバイスをします。
ノートをのぞいていた福田さんは、みんなに向かって、
「絵日記みたいに、これしました、あれしましたとだけではだめですよ。こんなことがあって、こんな風に話したとか、こんな風にしようと提案したとか、どんな指導をしたかも書き入れてください。親御さんが家庭で躾したりするのに、私たちの指導がちぐはぐにならないようにね。」
「なるほど…」
「ああ、それから、下の方数行分開けて終わるようにしてください。」
「と、いうことは、少なくていいというわけですね。」
「まあ、そういうことです。」福田さんは微笑みながら答えます。そこに、親御さんにお返事をもらおうと思います。
「わかりました。」みんな、表情が少し明るくなりました。
そうは言っても、10人近くの子どものノートを書くのは容易ではありませんでした。
福田さんは、ひとりひとりのノートを丁寧に確認して、指導していきます。
中には書き直しになるものもありました。
しかし、福田さんは粘り強くアドバイスします。
結局、夜の7時近くまでかかってしまいました。