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未定稿小説『奥山村物語』

未定稿小説『奥山村物語』60

2021.1.18

光さんが降りてきて、2人を荷台から抱き下ろし籠を渡しました。

この籠をこうやって肩にかけて、そこに収穫したトウモロコシを入れて行くんだよ。

いっぱいになったら、このトラックに戻ってきて、このコンテナの中にあけるんだ。いいかな。と説明をしてくれました。

「どんなトウモロコシを選べばいいかは覚えているかな?」

「うん、覚えてる、先っちょの毛が茶色くなって縮れてるの。それで、胴体が丸々太っているの。」あかりちゃんはそう言いながら、もうトウモロコシ畑の方を見つめています。

「それからね、2人は背が低くて届かないと思うから、この台も持って歩いて、乗っかってもぐといいよ。」と、奥さんが荷台から、2人に小さな踏み台を渡しました。

「はい!」2人は踏み台を受け取ると…ケケが「どこからとっていい?」と、聞きました。

「そうだな、じゃあはじから行くか、一緒にいこう。競争じゃないからな。急がなくていい、それよりもちゃんとみて、丁寧にもいで行くんだよ。じゃあ、行こうか」

「は〜い」2人は光さんの後について、づんづんと進んで行きました。

後ろから、奥さんが見て微笑みながら、「娘が結婚する前に孫が出来ちまったね」と呟いたのでした。

しかし、元気なのは初めだけでした。

30分ももいでいると、あかりちゃんのペースがグンと落ちてきました。しかし弱音は吐きません。ケケは少しは元気ですが、やはり、どんどん歩みが遅くなります。

それをみていた奥さんが、「少し早いけど、3時のお茶にしようかね。」と声をかけます。

あかりちゃんとケケの顔がぱっと明るくなりました。

「ようし、そうしよう」と光さんが答えます。

それでも、軽トラックの荷台にはたくさんのトウモロコシが積み上がりました。


そこに、自転車で、三枝君が走ってきました。

「光さんのこと手伝ってこいって、お父ちゃんに言われてきました。」

すると、奥さんが・・・「お父ちゃん? もうすっかり省三さんの子だね」と微笑んで、「まずはちょっと早いけどお茶だよ、一緒に休みな」

「はい」と三枝君は手早く、ゴザを敷いたり、お茶の支度を奥さんと一緒に手伝ってくれます。

あかりちゃんは、その姿を見ながらかっこいいと思ったのでした。


お茶の時間は、みんなでお茶を飲んで、おにぎりやお漬物を食べて、楽しく過ごします。

もちろんトウモロコシを茹でたのもあります。

2人は、美味しい美味しいと言って、それも食べます。

光さん達は、その姿をニコニコしながら見ています。