未定稿小説『奥山村物語』59
2021.1.11
あかりちゃんは、ケケこと、竹島けいこという、同い年の女の子とペアになりました。ケケは昨年の夏のキャンプにもきていました。2人ともおとなしい子です。
光さんは1人で迎えにきていたので、小さな2人は、助手席に並んで腰掛けて行きました。
あかりちゃんは、とても、嬉しそうに光さんを見上げています。
「ねえ、光さん、とうもろこし植えるの?」
「いいやとうもろこしはもう植えてある。去年と同じように収穫するんだよ、しかし今年は、去年と違って、いっぱい収穫しないとけないから大変かもしれないぞ」と、ちょっと脅します。しかしあかりちゃんは、胸を張って、「大丈夫、あたし頑張る」と、言ってのけました。
ケケも、「あたしも頑張る」と、声をあげました。光さんは満面の笑みを浮かべて「そうか、それじゃあ、一緒に頑張ろう。」と、笑いました。
光さんはまず、お家によりました。
お母さんが待っていて、3時のお茶の道具や、収穫のための道具類を軽トラに積みます。
「この子達がいるんじゃあたしは荷台だね」と微笑みました。するとあかりちゃんが、「私も荷台に行きます。」ケケも、「私も」と言って、3人で荷台に乗ることにしますが、あかりちゃんもケケも、自分で荷台に上がることができません。光さんが降りてきて、2人を抱き上げて、荷台に載せます。
奥さんが「あんた、運転、ゆっくりね、この子たち振り落としたら大変なことになるから。」
「ああ、わかってるよ」と、ニンマリします。
奥さんは、あかりちゃんとケケにここに捕まりなさいと、教えると、自分も腰をおろして、車体を叩いて、「いいわよ」と叫びました。
軽トラックはゆっくりと、畑に向かい出しました。
あかりちゃんは、荷台で、風を頬に受け、髪を後ろになびかせて、気持ち良さそうにしています。そして、「あ〜お山が綺麗!」と声をあげました。
「そうだね、今日はいい天気だからね」
ケケは少し緊張気味にトラックの縁にしがみついています。
「大丈夫かい?」と、奥さんが聞くと、こっくりとうなずきました。
トラックは止まり、その向こうに、とうもろこしの畑が広がっています。
「わ〜、ただいまとうもろこし!私が収穫してあげるからね」と、あかりちゃんは荷台に立ち上がり、畑に向かって手を振りながら叫びました。ケケはほっとしたのか、力なく荷台に座り込んでいます。