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未定稿小説『奥山村物語』

未定稿小説『奥山村物語』29

2020.5.25

「子供たちにとって、いいえ、その家族にとっても、奥山村が故郷のように思えるわけですから、奥山村の名前を大切にしたいんです。」

「なるほどね、と、言うことは、奥山村何々学校という感じなのかしらね。」

陽子さんはさすがに編集者です。その辺の整理が早いです。

「奥山村…学校…か」

「奥山村キャンプ学校、奥山村自然学校、奥山村自然体験学校、奥山村ふるさと学校、単純に奥山村学校」と、平野君がつぶやくように並べます。

「うん、少し書いてみようか。」

と、福田さんが、みんなの前にノートを開いてサインペンで大きめの字で書き始めます。


「まず、奥山村という名前は入れますね。」

「それから、学校は使いますか?」

「小学校や中学校以外にも子供を育てる場があるという主張として、学校という名前をあえて入れて、学校以外の学校を主張するのは面白いと思うね。」と、松永先生が言いましたす。

「子供という名前はどうでしょう。」と、谷口君が入れたいといわんばかりの発言です。


福田さんは、ノートに、

奥山村

学校

子ども

と書き出していきます。

「東京で人を集めるときには、自然という言葉はキーワードなんじゃない?」と、陽子さん。

福田さんは、続けて、

自然

と書きだします。

みんながそのノートを見つめます。


そして福田さんは『奥山村子ども自然学校』とつぶやきました。

「それがいい」と、谷口君が手を打ちました。

「そうねいいんじゃない」「うんいいかな…ただ、福田君が言うような、将来通信販売のようなこととかをしようと思うと、少し違和感があるかな」と、松永先生が疑問を呈します。

すると平野君が、「そのような、通販とかの仕事はもうひとつ別の会社を作っておいて、そちらでしたらどうでしょう。その方が学校は、教育に特化できて、みんなの理解も得やすいのではないでしょうか」

「なるほど、団体がひとつで何でもしなくていけないというルールはないものな。それでいこう」福田さんが決定を宣言します。

「とすると、会社の方の名前は?」

陽子さんの問いに、みんなが天を仰ぎました。

平野君が、福田さんのサインペンを受け取ると、ノートに『OCNS』と書きました。

「なんだい?」と谷口君。

平野君は「奥山村、チャイルド、ネイチャー、スクールの頭文字」

「なるほど…で、なんと読む?」「うん、それが問題だ」

「オーシーエヌエスか、ちょっとゴロが悪いな」

「オーチャンズ」「え~何それ」「だめか」

「スクールを入れずにOCNで、オーコンではどうかな」と、松永先生が提案します。

「でもOCNはネットの検索サイトか何かにありますよね」

「そうか」

「いいんじゃない、Sも残して、オーコンズ…なんかノーコンの人の集まりみたいで楽しい」

「いいね~そのダジャレみたいなネーミング『オーコンズ』いいじゃないか」福田さんが、微笑みます。

「よしこれでいこう。奥山村子ども自然学校。そして、オーコンズ」

「法人を取りますか?」と平野君が聞きます。

「そうだね、最近制度が整った、NPO法人を自然学校で、オーコンズは株式会社でどうだろう。でも一度には大変だから、まずは自然学校から手を付けよう」

「わかりました、それは僕の方でします」平野君からの心強い発言です。

「うん、お願いしよう」

「これで、やっと正式に千代田市の社会教育会館に申請ができますね、先生」と平野君が松永先生に目をやりました。

「おお、そうだね、今のところ、私の名前でとっていたからね」

「ハイ、社会教育会館は任意団体でも大丈夫ですから、まずは任意団体として、奥山村子ども自然学校で登録します」

「そうか、東京分校の事務所は千代田市内がいいということだね」と、福田さん。

「はいそうです、でも大丈夫です。それを見越して、僕は千代田市内に引っ越します。もう、物色してありますから」

「お~すごい」と、みんなが感嘆の声を上げました。

「では、所在地は平野君のお宅の住所を借りることにしましょう」

「はい、そのつもりで引っ越しますから」

「平野君、本当にありがとう」福田さんは頭を下げました。

「いいえ、どうせ、先生の大学の事務室にお世話になるのでしたら、千代田市に住んだ方が通勤も便利ですから」