未定稿小説『奥山村物語』47
2020.10.11
谷口君が、子どもたちに「お腹はいっぱいになりましたか?」と聞きました。
「は~い」
みんなは元気よく答えました。
「さて、今夜は、明日の田植えのための勉強をします。」
すると、堤光さんと堤省三さんが、教室に入ってきました。
「今夜はこのお二人に田植えのことを教えていただきます。よろしくお願いします。」
「おねがいしま~す」
「こちらが、堤光さんです」
「そしてこちらが、堤省三さんです」
という紹介から始まり、田植えの仕方や、予定のお話しが終わり、質問コーナーとなりました。
寛太君と、テル君が元気よく手を上げます。
寛太君が谷口君にさされて、「田んぼって、水を入れますよね。田んぼってどれぐらい水が入るのですか?」
「えッ。水の量かい」と、光さんが絶句します。
「考えたこともなかったな~。省三さんわかるかい?」
「わからんな~。」
「じゃあ、今度来るまでに、調べとくことにするから、堪忍してくれや」
「はい…」
寛太君は素直に、うなずきました。
テル君が続けます。
「植えた苗1本で、どれくらいのお米がとれるんですか?」
「それはわかるぞ…みんなが明日植える苗は、さっきも言ったとおり、3~5本をいっぺんに植えるんだが、それが、分けつといって増えていくんだな。大体20~25本ぐらいになるんだが、それ一株で大体お茶碗一杯分のお米がとれるんじゃ。」と、省三さんが答えてくれました。
「そっか…じゃあ、明日植えた苗の数がお茶碗の杯数になるんだ」と、テル君が感心していました。
「まあ、そういうこっちゃ」と省三さんがうなずきます。
「ぼちぼちいいかな…さ、これからみんなで寝る支度をします。お二人には明日もお世話になりますが、今夜のところはこれで、終わります。皆さんお礼を言いましょう」
「ありがとうございました」
みんな口々にお礼を言いました。
省三さんと光さんは、腰を上げ、学校を後にしました。
玄関口で福田さんが、「ありがとうございました」と、お礼を言うと、
「いや、まいったな…どれだけ水を使うかなんて、考えたこともなかったわ」
「調べられますか?」
「ああ、農協にでも聞いてみるわ」
「すみません、よろしくお願いします。」
福田さんが頭を下がると、ふたりは、ひらひらと手を振り、気にするなというそぶりで、各々の軽トラックに乗り込んで、帰っていきました。
りました。