未定稿小説『奥山村物語』53
2020.11.25
募集締め切り日が近づき、何とか最低限の人数が応募してくれました。
「この人数だと、利益は出ないな…採算ぎりぎりだ」と、平野君がミーティングでつぶやきます。
谷口君が「でも、開催しますよね?」と、福田さんに視線を投げます。
「うん、開催しよう、そして、参加してくれた人たちにアンケートをして、どうして参加してくれたかを尋ねることにしましょう。それから、解散の時に、奥山村からの農産品の通信販売の仕組みをお伝えしましょう。チラシにして。準備はできているかな?」
「もちろんです。」と、平野君が微笑みます。
「棒けん教室の方でも配りますよね?」と谷口君がききます。
「いいや、今回はとりあえず、畑の教室だけだよ」と平野君がこたえます。
「どうして」
「まだ、それほど数をそろえることができないんだ。今年は、事前にお願いをしてあったわけではないからね。」
「でも、畑の教室の方は参加者が少ないから、棒けん教室に流しても平気だろう。」
「いいや、田植えキャンプの参加者にも流すから、ぎりぎりなんだ。」
「ああ、そうか、田植えの参加者がいたな…」
「申し込みを受けて、品物がありませんじゃまずいからな。」
「そうですね」
福田さんは大きく頷いて、「いい準備ですね。完璧です。」
平野君と谷口君は嬉しそうに微笑んで頷きました。
7月に入って、いよいよ夏の教室の合同説明会が開催されます。
結果的に畑の教室はなんとか開催できる人数しか集まりませんでした。
それに反して、棒けん教室は、キャンセル待ちが十数人という大盛況となりました。
このキャンセル待ちの人たちに、畑の教室へのお誘いをしてみましたが、反応は芳しくなく、説明会の日を迎えることとなりましした。
説明会はいつものように、アウトドアショップの協力を得て、持ち物の中で必要なアウトドア用品の展示などもしてもらい、子供達は別室で活動をして待つと言う形としました。
スタッフたちも、だいぶ説明会にも慣れて来て、順調に進んで行きました。
しかし、畑の教室の説明の中で、野菜の通信販売のことに説明が及んだ時、棒けん教室の保護者から、「私たちにも、その通信販売だけしていただけないかしら…。」と言う声がおきました。
福田さんは、このような声が起きるかもしれないなと、予想していたこともあり、
「実は、今年度から計画をしたこともあり、農家の方々が、そのような通信販売をするための作付けをしていないこと。そして、今年に限っては、畑の教室の成果の一つとして、子供たちが植え付けをした野菜を収穫して送ってくださると言うこと。」を、丁寧に、かつ、毅然とそれは出来ないとお話をしました。
その話を聞いて、棒けん教室の保護者の中には、「うちの子、畑の教室に行かせれば良かったわ」などと呟く人もいました。
とは言え、他には特に問題もなく説明会は終了しました。