未定稿小説『奥山村物語』65
2021.2.25
2人は、昨日と同じように、光さんのとうもろこし畑で、とうもろこしの収穫をして、おやつにおにぎりを食べ、お昼にも、光さんのうちで沢山のご飯を食べました。
ご飯になるまで、2人は光さんに教わって、お風呂を炊く為に、薪をくべてお湯を沸かしました。
「薪で火を炊いてお湯を沸かすなんて、初めて。それで、お風呂に入るのね・・・」
あかりちゃんは興味津々です。
「古いうちだからな」
「そんな事ない、なんかかっこいい」ケケも、楽しそうです。
「これぐらいで良いだろう、晩飯が終わったら、ちょうど良い湯加減になるそ」
「は〜い」
2人は、もう、お風呂が楽しみで仕方がなくなりました。
ケケが、食べ終わって、「私、こんなにご飯を沢山食べたの初めて〜」と叫びました。
「それはよかった」と、奥さんが微笑みます。
「さ、2人で、風呂に入ってこい。」と、光さんが促します。
「お風呂から出たら、スイカ切りましょうね」と奥さんが、言います。
2人は、もう嬉しくて仕方がありません。
しかし、そのお風呂がなかなかの曲者でした。
まず脱衣場のドアは、隙間風が入ってくるようながたがたというものでした。
「誰か覗かないかな」と、ケケ。
「大丈夫だよ、だって、誰もいないじゃん、この辺は」
「テルとかつむろくが覗きに来ないかな?」
「来ない来ない、ここまでくる方がとっても怖いんじゃない。」
「それもそうね」
と話しながら2人は、ふと窓から外を見ました。そこはもう漆黒の闇です。そして、遠くにぼんやりと小さな街頭が見えます。
ケケが、ふ〜とため息をついて、「確かに怖いかも」
「そうね」
2人は、窓を閉め、お風呂に入ろうとしたとき、洗い場の排水溝から、ゲジゲジがはい出てきたのです。
ふたりは抱き合って、悲鳴を上げました。悲鳴を上げながらゲジゲジが足にまとわりつかないように、駆け足するようにバタバタしています。
そこに、光さんの奥さんが慌ててやってきて、お風呂場に顔をのぞかせます。
「な~に、どうしたの?」
「あ、あ、あれ…」と、ケケがゲジゲジを指さします。
「あらあら、こりゃあ、びっくししたね」と、笑いながら、ゲジゲジにぞうきんをポンとかぶせると、ゲジゲジごと摘まみ上げてしまいました。
「さ、もう大丈夫だよ。ゆっくりお入り。」
「う…うん…」といいながら、あかりちゃんは涙声になってしまいました。
それを見たケケも、べそをかきはじめます。
「そんなに怖かったかい…わかったわかった、あたしも一緒に入ってあげるから。泣かない泣かない。」
と、その日は、恵子さんと一緒に入ることになりました。