日本を、支える人材、けん引する人材、を育てる

Ⅴ 研究提言

「理論×実践」、より良い社会を目指すために必要であるキーワードであると認識しながらも、未だその融合がなされていないように感じています。「社会に役立つ研究」を問い続けながら、「理論×実践」の融合を体現できるよう進めていきます。

2023年度もありがとうございました。

2024.3.31

 気づけば年度末になっています。年末もそうですが、何かの区切りの月はわけも無く焦燥感に駆られますね。
 すっかり大阪は春模様で、出会いと別れの季節が訪れています。大阪体育大学は3月19日に卒業式が行われ、今年度卒業する学生達はコロナ禍真っ只中で入学した世代で「入学式」が行われませんでした。そうした代を送り出す卒業式の開式直前、司会者から突然「時間を戻します」とアナウンスが入り、入学式が挙行されました。なんとも粋な演出で、こういった思いやる心はどんな場であれ、大切だなぁとしみじみ感じました。卒業し社会に飛び立つ学生を見るその瞬間が、教育者として何より嬉しい瞬間です。とは言え、4月に入ればまたフレッシュな学生たちが入ってきます。「またゼロから…」というウキウキと苦しさが同居するような不思議な気持ちで年度末を迎えています。

 さて、SPSプロジェクトも本調査1年目が終わりました。2年間の計画で①ひとり親家庭を対象とした自然体験活動の効果を参加者および保護者の両面から明らかにする、②事業運営者や参加家庭・不参加家庭の保護者へ支援事業に関する実態・ニーズ調査を行う、③参加する障壁となる課題を明らかにするとともにその解決策を検討する、という3つの研究課題を進めています。
 1年目は計画通り課題①に取り組み、協働しているJapan Outdoor Networkに協力頂き、2023年7月~9月の期間に実施された「ひとり親家庭」を対象としたキャンプ活動にて20の民間団体にご協力頂き、参加した児童には「自尊感情」を、保護者には「子育てレジリエンス」の調査を実施しました。同時にキャンプに参加した一般家庭の児童、保護者および、統制群として非参加者にも調査を実施し、ひとり親家庭と一般家庭での自尊感情や子育てレジリエンスの違いや、キャンプ活動による変容の比較などを行っています。速報値ではありますが、「キャンプに参加することでひとり親家庭の子どもたちの自尊感情は向上する」、「キャンプに参加する児童の自尊感情はそもそも高い」という結果が得られています。一方、保護者に対する調査からは「子どもがキャンプに参加することで子育てレジリエンスのソーシャル・サポート、ペアレンタル・スキルが向上する」、「特にひとり親家庭の保護者におけるソーシャル・サポートの向上が顕著である」という結果が得られています。また、課題②、③に関しても取り組み、事業運営者3名に実態・ニーズ調査(インタビュー)を実施しました。引き続き、事業運営者をはじめ、参加者や不参加者にまで調査範囲を広げていきたいと考えています。
 引き続き、課題①、②、③に取り組んでいく予定ですが、課題①については一定のデータを得られたため、今後分析、論文化等を行っていく予定です。一方、課題②、③については引き続き調査を実施していく予定で、4月~6月に随時、事業運営者や参加者に調査を実施するように計画しています。
2024年度は2年計画の完成年度ですので、はじめに計画した、①自然体験活動参加者の「自尊感情」の変容を明らかにする。また、一般家庭とひとり親家庭の子どもの「自尊感情」の違いや、自然体験活動による変容の違いに関して明らかにする(違いがあるのかないのかを含む)。
②自然体験活動に子どもを参加させている保護者の「子育てレジリエンス」の変容を明らかにする。また、一般家庭とひとり親家庭の保護者の「子育てレジリエンス」の違いと、自然体験活動による変容の違いに関して明らかにする(違いがあるのかないのかを含む)。 
③事業運営者や参加者の実態およびニーズが明らかにする。また、自然体験活動への参加を阻害する要因を検討し、それらのデータから解決策について検討する。
といった成果にこだわって調査、分析を進めたいと思います。

次年度もどうぞよろしくお願いします!