日本を、支える人材、けん引する人材、を育てる

Ⅴ 研究提言

「理論×実践」、より良い社会を目指すために必要であるキーワードであると認識しながらも、未だその融合がなされていないように感じています。「社会に役立つ研究」を問い続けながら、「理論×実践」の融合を体現できるよう進めていきます。

1年間のまとめ

2022.3.31

 研究提言PJ第12回目のブログになります。今回は、「1年間のまとめ」と称して、2021年度に実施した活動を報告したいと思います。
 まず何といっても、2021年度は研究提言PJがスタートした年になります。PJの主たる目的は、”他のプロジェクト推進に向けたエビデンスとなるデータ収集や効果検証、意義の検証を行う”ことです。他のプロジェクトのように推進すべき事がはっきりしていてその解決に向けて推進していく、という形態ではなくある意味他のプロジェクトの「サポート」のような、少し毛色の異なる形でスタートしました。
このPJの要は他のプロジェクトとの「コミュニケーション」であると思っています。プロジェクトを推進する中で、何が必要なのか、何に困っていて、何が疑問なのか、などの点についてプロジェクトメンバーと適宜コミュニケーションを取ること、これが不足するとこのPJは始まりません。そういった点では、研究者として研究室にこもりがちな所、多くの実践現場の方々とコミュニケーションを取る機会があり、新鮮かつ研究のアイデアにあふれる1年となりました。
さてそれでは、研究提言PJが2021年度に行ってきた活動について報告します。2021年度は、「自然学校と企業との連携プロジェクト」と連携して実施した、「連携PJ」が主たる活動となりました。連携PJの目的は、“アウトドアメーカーをはじめとする企業の自然学校への認知度向上”です。これは、「企業は自然学校の存在を認知しつつも、どんな活動をしていて、どんな参加者や指導者がいるのか、どんなギアを使用しているのかなど、全く知らない」という声から着手に至りました。また、昨今ではアウトドアレジャーがブームになりその市場を拡大しています。一方で、自然学校のような青少年教育を主として行う現場には、そのブームを感じるには至らない現状があるようにも思います。そのような現状から、企業、自然学校(施設含)、地域が連携し、アウトドア業界全体が発展していくような連携を生みたいと考えています。その一歩目として、まずは、①アウトドアメーカーの洗い出し、②自然学校の実態調査(ギア、ウェアに関するニーズ調査)を実施しました。
 ①アウトドアメーカーの洗い出し
 ブランド名、創業年(本社、日本支社)、企業理念、最初の製品、最初の活動種類、活動範囲、強みである製品、製品の特長、関連URLの情報を調べ、現在54社のアウトドア関連メーカーを洗い出しました。今後、連携を行う地域の企業も調べ、具体的に連携していく企業を考えていきたいと思います。
 ②自然学校の実態調査(ギア、ウェアに関するニーズ調査)
 NPO法人湘南自然学校の協力を得て、自然学校に子どもを参加させている保護者および、キャンプ事業にリーダーとして参加しているキャンプリーダーにウェア、ギアに関するニーズ、困りごとに関する調査を行いました。こちらの内容は、日本キャンプミーティング2021、野外教育学会第24回大会、関西野外活動ミーティング2022で発表をさせて頂きました。今夏、キャンプ研究に投稿をしたいとも計画中です。詳細な内容については、情報保護の観点から、一般公開にはもう少しお時間を頂きたいと思います。興味のある方がいらっしゃいましたら、遠慮なくご連絡ください。
以上、連携PJの年間活動報告になりますが、これはまだまだスタートしたばかりです。むしろ、これからが本番と言っても良いでしょう。2022年度も引き続き、進めていきたいと思います。
 研究提言PJのその他の動きとして、野外教育学会第24回大会での自主企画シンポジウムにて、「実践と研究の融合を目指して~現場はこんな研究求めています~」を実施しました。幹事の、小澤さん、原田さん、関口さんにご登壇頂き、研究者が多く集まる学会にて、連携していく重要性について走林社中の実例も含めて議論し、深めることができました。研究者からの反響も大きく、こういった動きも引き続き続けていく必要性を感じました。
さて、あっという間の1年間でしたが、年間を通してあらためて「コミュニケーション」の重要性を感じました。実践者、研究者ともに連携の必要性を感じつつも、なかなかその一歩が踏めていないように感じています。しかし、その一歩は意外と簡単で、まずは「話してみる」それで良いのかもしれません。「実践×研究の融合」を目指し、次年度も頑張ります!