日本を、支える人材、けん引する人材、を育てる

Ⅴ 研究提言

「理論×実践」、より良い社会を目指すために必要であるキーワードであると認識しながらも、未だその融合がなされていないように感じています。「社会に役立つ研究」を問い続けながら、「理論×実践」の融合を体現できるよう進めていきます。

12th Japan Outdoor Leadership Conferenceに参加して

2024.6.21

前号にて紹介をしましたが、6月は、野外教育関連のカンファレンス、学会のシーズンです!

6月18-20日に東京都は青梅市で12th Japan Outdoor Leadership Conferenceが開催されました。今年のカンファレンスのテーマは「西多摩から考える『日本のアウトドアビジネス』の未来」でした。国内旅行者が増加している今日、全国各地でオーバーツーリズムの問題が懸念されています。観光産業は燃料産業、化学産業に次いで3番目に大きい産業といわれ、10人に1人の雇用があると言われています。つまり、世界経済や社会、自然環境に大きな影響を与える産業であるわけで、観光の在り方ひとつで今後の我々のアウトドア産業の未来は大きく変化すると言っても過言ではありません。特に日本の競争優位性である「自然資源」を活用したアウトドアツーリズム(トラベル)については、観光庁も多額の予算を使って発展させようとしています。しかし、先にも述べた通り、自然を利用した活動には少なからず自然に影響を与え、利用の仕方によっては大きなダメージを残してしまいます。そのため、いかに観光と自然環境との調和の取れた状況を作るのか、が非常に重要になるわけです。
 今回のカンファレンスでは、そういった背景をもとにいかにアウトドアビジネスを展開していくのか、キーノートやシンポジウムでビジネスモデルやこれからの在り方について考え、ワークショップ等で具体的な技術などを学びました。シンポジウムではなんと、青梅市、あきる野市、奥多摩町、檜原村、の首長がそろうという…官民学がコラボレーションした刺激的な時間でした。
 このカンファレンスに参加して私が感じたことをメモ的にまとめておきたいと思います。
・アウトドアツーリズム(ビジネス)は間違いなくこれから盛り上がっていく
・アウトドアガイドの質をいかに担保するのかが必要になる。少なくとも、救急法、環境倫理(具体的な技術含)は必須。そしてそれを使いこなす教育的観点も非常に重要。
・インバウンドを想定した場合に、ガイドの質を示す「国際的な」資格が必要。そのような背景を見たときに、国内にあるWEA、LNT、WMA、などの資格は有効
・自然へのダメージについては、やはり懸念事項
・観光×アウトドアという点にもやはり土台を築くのは「教育」であり、ガイドへの教育、観光客への教育、次世代への教育、様々な対象に対して、自然と人間との在り方を考える教育が必要。
・民間の自然学校関係者が取り残されないように、これらの動きにアンテナを張り巡らせておく必要がある。
・総じて、ガイド、自然学校職員、大学教員などが連携していくことで、課題の解決、産業の発展可能性が高まる。

課題も多くありますが、アウトドア産業の未来は明るい、と感じることのできたカンファレンスでした。来年は2025/6/17-19に北海道は網走にて開催予定です。興味のある方はぜひ調整を!
さてさて、来週は野外教育学会です!またこちらもご報告できたらと思います!