日本を、支える人材、けん引する人材、を育てる

Ⅴ 研究提言

「理論×実践」、より良い社会を目指すために必要であるキーワードであると認識しながらも、未だその融合がなされていないように感じています。「社会に役立つ研究」を問い続けながら、「理論×実践」の融合を体現できるよう進めていきます。

夏期調査の分析速報②

2023.12.5

 早いもので、2023年も残りわずかとなりました。別に焦る必要など無いのに、何か焦燥感に駆られるのは私だけでしょうか。常に時の過ぎるスピードに自身が追い付いていない感じがそうさせるのでしょうね。心を整え、今年も走り切って終えたいと思います!
 さて、先月に引き続き夏期調査の分析結果について速報値をお伝えしたいと思います。
 今月はSPS事業に子どもを参加させた保護者への調査結果を共有します。
 まず、保護者への調査概要は以下の通りでした。
【保護者への調査】
 調査対象:SPS対象事業へ子どもを参加させた保護者(一般参加家庭の保護者を含む)
 調査内容:同意書、子育てレジリエンス尺度(12項目)
 調査方法:質問紙またはデジタル版から回答
 調査回数:支援事業の事前・事後 (前後1週間程度で回答を依頼) 計2回
 分析方法:2要因分散分析(自然体験群×対照群)
 そして、
① 自然体験活動は親の子育てレジリエンスに効果的か?
② ひとり親家庭にとって、自然体験活動は子育てレジリエンスに効果的か?
③ 自然体験活動への参加形態(子どものみ、親子)によって、子育てレジリエンスへの効果に差があるのか
 の3つの観点で検討した結果、以下のような結果が得られました。
※研究倫理の観点から詳細な数値を現段階ではお見せすることはできません。またオフィシャルな結果ではありません。

課題①
・ペアレンタル・スキルについて、自然体験群のみ事業後に有意に向上した。
・ソーシャル・サポートについて、自然体験群は元々高い数値を示し、さらに事業後に有意に向上した。
・母(父)としての肯定感について、自然体験群がもともとの数値が高く、事業前後での変化はなかった。
課題②
・ペアレンタル・スキルについて、ひとり親群と一般群に差はなく両者とも同程度に向上した。
・ソーシャル・サポートについて、ひとり親群の方が一般群より向上した
・母としての肯定感については、ひとり親群と一般群に差はなく、両者とも変化はなかった。
課題③
・ペアレンタル・スキル、ソーシャル・サポート、母としての肯定感の3因子とも参加形態による差はなかった。
 以上のことから、キャンプ事業に子どもを参加させることで、保護者のペアレンタル・スキルやソーシャル・サポートの側面において、一定のポジティブな影響があることが考えられます。
 キャンプが参加者だけではなく、参加させた保護者にとっても良い影響があることはキャンプの新たな価値の創出にも繋がるのではないでしょうか。何より、ひとり親で生活状況や経済状況が厳しい保護者にとっても一定の効果があるならば、これ以上に良い事はありません。
 先月も言いましたが、これらの結果を早く公表できるような状況にし、社会的にもアピールしていきたいと思っています。こういったキャンプ事業がより多くの人々に届くように、頑張りたいと思います!

 最後になりましたが、今年も多くの人々にお世話になりました。今年度、研究者として多くの実践者の方々とコラボレーティブに動き、少しずつではありますが、想いが形になって来ています。未熟なこともあり、多くの場面で迷惑をお掛けしました。成果も悔しさもエネルギーに、2024年も走っていきたいと思っています。
 引き続き、よろしくお願いします!
 皆様、良いお年を!!