日本を、支える人材、けん引する人材、を育てる

Ⅴ 研究提言

「理論×実践」、より良い社会を目指すために必要であるキーワードであると認識しながらも、未だその融合がなされていないように感じています。「社会に役立つ研究」を問い続けながら、「理論×実践」の融合を体現できるよう進めていきます。

2023年度のはじまり

2023.4.30

 2023年度も始まりました。4月になり温かい日が増えてきながらも、急に寒くなったりと、夏の足音が聞こえつつもまだまだ上着を羽織る日は多そうです。
  さて、2023年度の研究提言プロジェクトの動きはというと、
 「ひとり親家庭を対象とした自然体験活動が参加者の自己肯定感および保護者の子育てレジリエンスに及ぼす影響」
について、調査・分析を行うことを予定しています。なおこれは、第38回マツダ研究助成金の助成を受けつつ進めていく事となります。
 これまで何度か報告はしてきましたが、この研究の目的は、「ひとり親家庭を対象とした自然体験活動の効果を参加者および保護者の両面から明らかにすることを目的とする。また、事業運営者や参加家庭・不参加家庭の保護者へ支援事業に関する実態・ニーズ調査を行い、参加する障壁となる課題を明らかにするとともに、その解決策を検討する」ことです。
平成25年「子どもの貧困対策に関する法律」が成立し、様々な支援が行われていますが、未だ貧困問題は日本において急務な社会問題となっています。しかしながら、貧困をテーマにした調査研究の蓄積は不十分であり、様々な対策や支援が有効であるのかエビデンスが得られていない状況にあります。
自然体験活動は自己肯定感や生きる力などの心理的側面や社会的スキルの育成に効果があることが明らかになっており、貧困家庭の子どもにとって不足しがちな体験活動を補うことや、自己肯定感や社会的スキルの醸成に非常に有効であることが考えられます。さらに保護者にとっては、貴重なレスパイトの機会になることが考えられ、子ども、保護者の両者にポジティブな影響があるものと考えられるでしょう。ひとり親家庭に対する自然体験活動の影響を明らかにすることは、現在実施している「ひとり親家庭支援事業(SPS)」のような事業の有用性を示すだけではなく、SDGsの目標1「地球上のあらゆる形の貧困をなくそう」、目標4「誰もが公平に、良い教育を受けられるように、また一生に渡って学習できる機会を広めよう」といった目標にもアプローチする事にもつながり、世界的な課題に対しても有益なエビデンスとなりえます。
 2年計画で研究を進めていますが、まず今年度は「ひとり親家庭支援事業の効果測定」を主軸に、自然体験活動が、ひとり親家庭の子どもや保護者へどのような効果があるのかを明らかにしていきたいと思います。
 自然学校と企業との連携PJの原田さん、明治大学の吉松先生、筑波技術大学の向後先生のプロジェクトメンバー一同より良い未来にむけて、研究を頑張っていきたいと思います。
 今年度もどうぞよろしくお願い致します。