日本を、支える人材、けん引する人材、を育てる

Ⅴ 研究提言

「理論×実践」、より良い社会を目指すために必要であるキーワードであると認識しながらも、未だその融合がなされていないように感じています。「社会に役立つ研究」を問い続けながら、「理論×実践」の融合を体現できるよう進めていきます。

第26回日本キャンプミーティングにおける実践発表

2022.11.30

 11月26日、27日の2日間に渡って開催された公益社団法人日本キャンプ協会が主催の第26回日本キャンプミーティングに参加および実践発表をしてきました。今回のテーマは、「キャンプ博」で、1日目は基調講演や実践発表から、キャンプの理解を「広げる」、2日目は研究発表などからキャンプの理解を「深める」という2日間の設定でした(残念ながら私は1日目しか参加できず…)。
 参加して感じたことをご報告できたらと思います。

【基調講演】
 今回、「脳科学からみたキャンプの意義について」というタイトルで、東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授より講演頂きました。子どもの発達段階や自然体験活動による脳の機能の活性化という観点から、様々な先行研究も踏まえつつ説明がありました。印象的であったのは、「自然体験活動は脳にとって悪いことが一つも見当たらない」という言葉です。自然体験活動を提供する皆さんにとって、脳科学者からのこの言葉は大きな自信になるのではないでしょうか。ちなみに、子どもの発育には「親が心から楽しんでいる様子を見せる」のがとても大切であるようです。皆さん、楽しんでいる姿、見せられていますか?
私が今回の基調講演を聞いて感じたのは、いよいよ自然体験活動が人間の発育発達にとって効果的であるのはわかってきたよね。次は、この成果を現代社会において、どのように普及していくのか、届けるのか、が大切であるという事です。特に「教育」の分野においては、現場で届けている価値に対して、適切な評価、対価を得ているようには思えません。そういった不一致がある現状や課題を見つめ、届け方を学んでいく事が必要なのではないでしょうか。

【実践発表・研究発表について】
実践発表題目
・キャンプディレクターとしての実践活動
 杉山 匡(愛知県レクリエーション協会派遣指導者)
・ひとり親家庭支援事業と連携した研究活動について
 徳田真彦(大阪体育大学)ほか
・品川キャンピングベースの実施とボランティア団体の運営
 飯作直哉(品川区キャンプ協会)
・パパとママのためのキャンプ教室
 中島 宏(福岡県キャンプ協会)
・マチdeキャンプ(マチキャン)
 中内信孝(大分市キャンプ協会)
・家族キャンプ『まごもこもキャンプ』の実践
 金谷洸晟(筑波大学大学院)ほか
・(株)サン・クレア主催の野外教育事業『NAME CAMP』とは
 前川真生子(株式会社サン・クレア)ほか
研究発表
・森のようちえんに参加している子どもは、自然活動や遊びでどのような感性を育むのか?
 歌城真子(東京家政学院大学)ほか
・保育者・小学校教員養成系大学が主催する「森のようちえん」における学生の学び
 佐藤冬果(東京家政学院大学)ほか
・情報端末を用いたキャンプ指導の試み ~野外炊事場面(カレーライス作り)での活用~
 下村 悟(公益財団法人日本アウトワード・バウンド協会)ほか
・野外炊事で起きたけがに関する一考察
 青木康太朗(國學院大學)

 全体を通して、発表演題数は少ないものの、各地での特色ある取り組みがなされている状況が分かりますね。研究発表においては、いよいよ情報端末を用いたキャンプ指導、といった内容が出てきました。現代社会の高度な技術を用いて新たなキャンプの形ができていきそうです。

【ひとり親家庭支援事業と連携した研究活動について】
さて今回の連携PJで参加した、最大の目的であった「ひとり親家庭支援事業と連携した研究活動について」という実践発表ですが、なんとMost Impression Presentation賞を受賞しました!実践者と研究者がコラボしながら動いていることが高く評価されました。受賞したことを素直に嬉しく思うのと同時に、評価頂けたことは自分たちが行っている活動について自信になりました。これからも益々頑張っていきたいです。

余談:対面での親睦会
キャンプミーティング後には、関係者たちと夜会を行いました。これまでなかなか対面でお会いできなかった人たちと「生」で会い、熱量の伝わる時間は本当に良いなと思いました。想いを共にし、これからを語る仲間が増えていくと良いなと思います。