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コラム『雑記帳』

1983年国際自然大学校設立当初より発刊していた機関誌『OUTFITTER』に寄稿していたコラムです。
現在、機関誌『OUTFITTER』は、廃刊となりましたので、WEBにて、コラムを書き続けています。
現在は月1回、1日に更新しています。

第392号 『四国お遍路 秋の陣』

2023.12.1


お遍路の第2ラウンドに行ってきました。先回は春に行きまして、今回は秋の陣ということです。
先回は結構しんどかったので、荷物を1gでも軽くしようと思い、色々と工夫しました。

例えば、髭剃りは持たない。
私は電動髭剃りを使っているので、旅行用も同様に電池式を使っていたのですが、それは持たずに行くことにしました。
これで、だいぶ荷物は軽くなりました。
着替えも最低限のワンセットしか持ちませんでした。
タブレットも今回は持たずに行きました。さすがにスマホは持たないわけにはいかないので、持ちました。
財布も100円均一で、ビニール製のものを用意しました。筆記用具も、ボールペン1本。ノートは少しコシのあるカレンダーの裏紙のみ。
洗剤は、箱などをとって、必要最低限の量をビニールに入れました。
タオルも1本。予備に手ぬぐいを1本。バスタオルなどもってのほかです。
スマホの予備バッテリーは、持とうかどうしようか迷いましたが、やめました。
何とかなるだろうということにしました。
もちろん髭づらになることは、覚悟しました。
このように、とことん荷物の軽量化を図っての第2ラウンド秋の陣でした。

先回の春は余裕もなく、把握できなかったのですが、このように軽量化を真剣に考えて、お遍路を歩いて気が付いたことがあります。

お遍路の宿では、どこでも、洗濯機と乾燥機があります。
もちろん有料ですが。
また、洗剤も用意されていました。無料のところと有料のところがあったように思います。
ですから、本当に最低限の着替えのみで過ごせます。
今回は、1着だけで過ごせてしまいました。宿に到着して、洗濯して乾燥させて、また翌日には着られるからです。

そして、トイレはすべての宿で、洋式の温水洗浄便座でした。
お風呂もきれいでした。シャワーはもちろん完備です。
古い古民家の宿でも、ゲストハウスのような宿でもです。
そしてもうひとつ、すべての宿でフリーWi-Fiが完備されていました。
Wi-Fiって何?…と言いそうなおばあさんが一人で運営している宿でもです。

宿帳というか、宿泊記録をちょっと見ることができた宿がありました。
すると、半分近くが外国人でした。
なるほど~と思いました。
外国の人は、きっと、こんな古い日本的な宿に泊まりたいのでしょうね。
ただし、トイレとシャワーは、ちゃんとしていてほしい。
わからないことはネットで検索するから、フリーWi-Fiはぜひとも完備しておいてほしい。

しかし、食事とかは日本食を体験したい。
豪華な日本食でなくても、おばあちゃんの作ってくれる手作りの地域食が食べてみたいのでしょう。
寝るのはベッドでなくてもいい。
敷布団を敷いて寝てみたい。少々足が出ても、上手に座布団を継ぎ足せば何とかなるじゃないか…という具合なのでしょう。

そんな日本式の旅を体験させる中でも、必要最低限の設備は整えてあげる。
それが、風呂、トイレ、フリーWi-Fiなのでしょう。
お遍路の宿はきっと、そんなニーズを受け止めて、きちんと整備しているのでしょう。
日本のインバウンドのひとつの姿であると思います。

そして、お遍路をしていて思うのですが、実は歩いて、泊まって、食べる…だけではないのです。
登山とかハイキングならば、歩く時間と、食事休息時間を計算すればいいのです。
しかしお遍路はそれに、お寺でお参りする時間があるのです。
結構時間がかかるもので、山門で手を合わせて、手水場でお清めして、鐘楼があれば鐘をついて、やっと本堂へのお参りです。ろうそくに火を灯し、お線香をつけ、納め札をお納めて、お賽銭を投げ入れて、お参りです。そして般若心経を唱えます。
その後、大師堂にも同じ手順でお参りします。
最後に、納経所で御朱印をいただきます。
30分ぐらいかかる感じでしょうか。

たびごとに繰り返すこのお参り。日本的型の文化なんですね。
この型というのは、申し上げた手順に加えて、菅笠とか背中に南無大師遍照金剛と書かれた白衣、数珠、等々の装備品です。
外国人はこれらの型も楽しんでいるようです。
また、御朱印はコレクションですよね。ご本尊をすった絵札もいただけるのです。
四国八十八ヶ所霊場会では、弘法大師御誕生1250年記念として令和4年6月15日から令和6年12月31日の2年6ヶ月の間は記念カードもいただけます。
私は、これを全部集めるのは難しいかな。
このように、信仰をもとにした巡礼の旅ではありますが、野外活動としても、実によくできているように思いました。