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コラム『雑記帳』

1983年国際自然大学校設立当初より発刊していた機関誌『OUTFITTER』に寄稿していたコラムです。
現在、機関誌『OUTFITTER』は、廃刊となりましたので、WEBにて、コラムを書き続けています。
現在は月1回、1日に更新しています。

『マイボトルとマイバックで満足しないでね』

2021.9.1


ある日の我が家の台所です。
食器の水切りかごを眺めていました。
お茶碗とお皿類は瀬戸ものです。
汁物のお椀は木製です。
コップはガラス。
しかし、梅干しを入れておいたタッパウエアーや、煮物を入れておいたジップロックはプラスチック製です。
そして、小さなボールや、ざるもプラスチック製です。
キュウリを薄切りにするスライサーや、瓶などに液体を移すロート?…じょうごとも言いうのかな。それのおたまやフライ返しもみんなプラスチック製です。
フライパンやお鍋の柄もプラスチック製でした。
そして、ご飯をよそるしゃもじもプラスチック製ですね。
よく考えたら、ペットボトルばかりでなく、家で暮らすための生活用品の中にいかにプラスチック類が多いことか。
プラスチックなしでは、私たちの生活は成り立たなくなっています。
しかし、ペットボトルと同じように、そのプラスチックへの依存度を少しづつ減らしていかなくてはいけないのではないでしょうか。

色々なところで、このような化石燃料の消費や、CO2の削減に対しては疑問の声があることも分かったうえで、あえてお話します。

いつまで使えるかはわかりませんが、このように湯水のごとく化石燃料を使えば、いつかは枯渇することは間違いありません。
ならば、少しでも、化石燃料の消費を減らしていかなくてはいけないのではないでしょうか。

ペットボトルの再生利用が色々なところで起こっていますが、再生利用ということは、ペットボトルを原料にするということです。と言うことは、ペットボトルは生産され続けているのですよね。
その再生された製品によって、どれだけ、石油製品の生産が抑えられてはいるのでしょう。
しかし、その効果は全く不透明です。
再利用をしている企業の石油製品の生産量は増えているように思えてならないのです。
この生産を抑えなくてはいけないのです。と言うことは、企業の成長を抑えるということになります。
この現実を私たちは受け入れなくてはいけないのです。

同じように、家庭の中にあふれるプラスチック製品に至っては、再利用さえされていないわけです。

例えば、プラスチックのざる…
先日、走林社中の『道草寄り道気まぐれラジオ』で大分県の「笑竹堂」の三原さんにお話を伺ったのですが、彼の作るざるは素敵なものです。
当日お話しを伺った後に、ざるを注文しました。でも1年ぐらい待つようです。
1年待って竹のざるを手に入れ、そのざるを一生使う。そんな暮らし方がいいのではないでしょうか。もちろん、洗ったり乾かしたりするのも丁寧にしないと、かびてしまったりします。
そのためには、暮らしに時間をかけなくてはいけません。
暮らしに時間をかけると、稼げるお金は減りますが、ざるを一生使えば、新しいざるを買い替えて行く分のお金は出なくてすみます。
そんなざるひとつの出費程度では…と、おっしゃるかもしれませんが、そのような出費をコツコツと積み重ねたら、結構大きくなるのではないでしょうか。

ご飯をよそるしゃもじもプラスチックです。
このしゃもじに至っては、今では買うものではなくて、お釜を買うとついてくるものですから、出費はないですね。
しかし、何かで新しいものを買おうと思ったときやはりプラスチックをお求めになりますか?
これは以前にもお話ししたかもしれませんが、子どもたちがキャンプの工作で作ったものを大切に使うなんて言うのはいかがでしょうか。
子どもが作ったものを、大切に使い続けるというのもよいのではないでしょうか。

そんなことぐらいしたってなにも変わらないじゃないか…と思われるかもしれません。
しかし、生活の中で、考え続けることが大切なのではないでしょうか。
考え続け、ひとつひとつ、少しづつ少しづつ、小さなことでもいいから、自分の暮らしを変えていくことが大切なのではないでしょうか。

ペットボトルをマイボトルに変えて、レジ袋をマイバックに変えて、それで環境に配慮した暮らしをしてると思い込んで、考えることを止めてしまってはいけないと思うのです。
マイボトルもマイバックも、考えるきっかけにするべきであり、それだけを満足して考えなくなってはいけないのです。

そして私たちの活動でも、そのように考えるきっかけを提供しなくてはいけないのではないでしょうか。

工作でしゃもじを作って持って帰ってもらうということも、そのひとつになるかもしれないと思っています。
できれば、竹かごなども作れるといいなと思います。
以前も少し考えたのですが、プラスチックでできたほうきの代わりに、工作で天然素材のほうきなどが作れたらとも思います。
自然体験活動の中でもこのように持続可能な社会への暮らし方を考えるきっかけになるような、工作であったり、プログラムであったりを考えることが大切なのではないかと思っています。
今、自然の中での活動は、そのような役割を担うべきなのではないでしょうか。
それこそが社会に必要な自然体験活動となるのではないでしょうか。