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コラム『雑記帳』

1983年国際自然大学校設立当初より発刊していた機関誌『OUTFITTER』に寄稿していたコラムです。
現在、機関誌『OUTFITTER』は、廃刊となりましたので、WEBにて、コラムを書き続けています。
現在は月1回、1日に更新しています。

第388号 コスパにタイパ

2023.8.1


コスパにタイパ…
皆さん、おわかりですよね。
コスパはコストパフォーマンスですね。日本語に直すと「費用対効果」がよいということでしょう。
しかし最近のニュースなどでこの「コスパがいい」という言葉は、単に「安い」という言葉のように使われているような気がしてなりません。
こうやって、安いものを追い求めて、手もとに残ったお金は、いったい何に使うのでしょうか?
もう少し踏み込んで言うと、どういうものに対してコスパを求めるのでしょうか?
生活にかかわる食費などは、徹底してコスパを求めるという感じなのではないでしょうか?
コロナ後の感じを見ていると、旅行などにはあまりコスパを求めないのかな~と感じています。
いうなれば、食費などはコスパを求めるけれど、娯楽費は奮発しちゃう!という感じでしょうか。

さて、次はタイパです。
タイムパフォーマンスですね。
これも本来の意味は、「かけた時間に対する満足度」を指すもののようです。しかし、実際に使われている感じは、いかに短い時間でできるかということを指すようです。
「タイパがいい」というのは「短時間でできる」ということを指すことが多いような気がします。

皆さんにミヒャエルエンデの『モモ』を読んでくださいとお願いしていますが、ここに出てくる時間泥棒を思い出してしまいます。

タイパで節約した時間は、どこに行くのでしょう?
あなたが時短して手に入れた時間は、どこにあって、どのように消費するのでしょう。
夕食の準備で6時から7時まで1時間かかる料理を、何かの方法でタイパで6時半に終えられたとしましょう。6時半から7時は、何に使うのでしょう?
早めにご飯を食べますか?
だとしたら、7時からの30分は何に使いますか?
気が付けば、なんとなくダラダラして過ごしちゃったとか、テレビ見ていたとか、スマホゲームしちゃったとかが多いのではないでしょうか?
でもそのタイパのための何かの方法を手に入れるためには、結構お金がかかっていたりするんですよね。
そのために、もっとお金を稼がないといけないから、もっとタイパしなくっちゃ…。え?でも、今、タイパして手に入れた時間は、収入を増やす役には立っていないですよね。
いやいやそんなことない。残業代を稼ぐために、帰る時間が遅くなる。
だから、6時ではなくて6時半に帰るから、タイパが必要なんだということですよね。

ちょっと待ってください。
無理に残業しなくても、お金がかからないように、タイパしないで1時間かけて料理すれば、いいんじゃないでしょうか?
よ~く考えると、タイパというのは、何か物を売るための、買ってもらうための売り文句なのではないかと思ってしおまいます。

コスパがいいというのも、もしかすると同じように、購買意欲を書き溜めるための魔法の言葉なのかもしれんませんね。
コスパがいいから買いましょう。
でも、よく考えたら買わなくてもいいものかもしれないですね。

このコスパ、タイパの次に来るのはなんなのでしょう。
お金がなくても買い物ができるなんてことなのかもしれませんね。
そんなことはあり得ないと思うかもしれませんが、リボ払いとかは、すでにそうでしょう?
今は、お金がないけど、物は欲しい。
きっと将来の自分は稼いでいるから、その時に払おうということですね。
本当に、将来のあなたはお金を稼いでいますか? 
私くらいの年齢だと、これは、不安というか、危険を感じてしまいますよね。
まあ、早い話が借金でしょう。借金をしてはいけないとは言いません。しかし、借金というのは日常的にするものではなくて、よくよく考えて、計画を立ててするもののように思います。よほどの決心が必要なもの。
時代は変わるのでしょうかね。

しかし、そうまでして、その物を買いたいのでしょうか。

物が売れないと経済成長がない。
しかし、経済成長はしないといけないのでしょうか?

ぼちぼち、この経済成長神話のようなものから脱却して、低成長の中での生き方とか、幸せとか、充実感を求める時代なのではないでしょうか。

少なくとも、世界中の人が今の日本のような消費活動をすることはできないのです。
だとしたら、世界中の人が幸せになるためには、私たち日本人は、相当のモノを手放す必要なあるのではないでしょうか。
そのためには、自分の欲望を制御する力が必要なのでしょう。
その欲望を押さえられないと、周りの人とのトラブルも増えると思うのです。
その欲望を制御する力をどのように育てるか。これがこれからの私たちのテーマなのではないでしょうか。