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コラム『雑記帳』

1983年国際自然大学校設立当初より発刊していた機関誌『OUTFITTER』に寄稿していたコラムです。
現在、機関誌『OUTFITTER』は、廃刊となりましたので、WEBにて、コラムを書き続けています。
現在は月1回、1日に更新しています。

『コロナのことを忘れてしまう前に』

2021.11.1


新型コロナウィルス感染症も、だいぶ落ち着いてきましたね。
この冬は、子ども達のキャンプも今までのように開催できるかもしれません。
ただ、この新型コロナウィルス感染症のことを忘れてしまう前に、もう少しこのコロナのことお話しさせてください。
この新型コロナウイルス感染症の蔓延はなんだったのでしょうか。

私は、もちろん変な宗教にかぶれていたり、運命論者ではありませんが…。
このコロナ感染症の世界的蔓延は、私たちの暮らしを見直すよう、自然が与えてくれたチャンスだったのではなかと思えてならないのです。

この原稿は2021年10月30日に書いています。
明日のハロウィンはいったいどうなったのでしょう。
そして、衆議院議員選挙の結果はどうなったのでしょうか。

数年前、コロナ感染症が蔓延する前のハロウィンは、渋谷で若者がバカ騒ぎをして、警察沙汰になったりもしていました。
普段の渋谷は、いくら人が集まるといっても、お互いに名前がわかっている人同士が連れ立って、食事をしたり、お酒を飲んだり、買い物をしているのです。
しかしハロウィンの時は、その名前が取り払われます。
それを助長するのが『仮装をしている』ということなのでしょう。
そのようにして、匿名性の集団が出来上がります。誰なのかも知らない者たちが集まって、普段のうっぷんを晴らすように、暴走を始めてしまうのではないでしょうか。

しかし、うっぷんを晴らすというのは大切なことだと思います。
その世界一のうっぷん晴らしのお祭りは、リオのカーニバルなのではないかと思っています。1年の稼ぎのすべてを費やしてまで、カーニバルにかけてしまう。
しかし、リオのカーニバルは匿名性ではない。お互いのチームの中で義務と責任を分担し、秩序を保っています。

あの渋谷の匿名性の集団の暴走が、私はひとつの社会のタガが外れた瞬間だったと思います。
どこの誰かわからない者同士が、暴走を始めたのは危険なことだと思います。

地域の成人式での暴走も気になっていますが、それはまだ匿名性ではありません。
それは地域でのうっぷんを晴らす場所がないのでしょう。それと、式典の持ち方にも課題があると思っています。

大阪の岸和田だんじり祭のようなエネルギーを爆発させることができるようなお祭りがあるといいのでしょう。
それも、成人となる人が、人生の節目となるようなお祭りがあるといいのではないでしょうか。

これからは、地域の中で、その地域の若者がエネルギーを爆発させることができるような催しも必要なのではないかと感じています。

私のような、キャンプしか知らない堅物ではなく、かぶき者が、地域のとんがった催しを考えていく方がいいと思います。
エネルギーを爆発させることができるような催しをしながらも、匿名ではなく、お互いの顔が見え、秩序は保たれる。
そんな催しを新しく地域で作り出すことで、若者がいついてくれることにつながるのではないでしょうか。

お互いの顔が見える、しかし息苦しくなるほどではない、そんな程よい距離感の地域社会が作り出せれば、若者たちももっと地方で暮らしてくれるようになるのではないでしょうか。
その程度の地域が、小さな経済圏としてある程度機能する。
その小さな経済圏がいくつか集まって、行政圏を作っていく。

このコロナは、そんなことを考えるために、自然が与えてくれたチャンスなのではないでしょうか。
のど元過ぎれは熱さ忘れる…ではいけないのです。

今、真剣に、考える時なのです。

このコロナで私たちは何を学ばなくてはいけないかを、私たちは真剣に考えるべきではないでしょうか。

今は、そんな議論をする場が若い人たちに必要なのです。
そして、今私たち歳を重ねた者は、いま彼らのそんな場を作ってあげるのが役割なのだと思います。
場をつくり、自由にそこで議論させ、新しいものを作り出す手助けだけをする。
アドバイスとかもしないで、ただ微笑んでみていてあげる。もちろん意見を求められれば意見は言うが、議論をひっぱっていくことはしなくていいのです。

その場も、全員が集まらないで進めることもあっていいのかもしれません。
集まれる者が集まり、集まれない者はリモートで参加する。
次の時にはリモートだった者が集い、先回集った者がリモートだったりする。
リモートだと…体温を感じられないとか、一緒に飲めないとか言いますが、それを乗り越えて、リモートでも本音を語り合える力を、若者たちはすでに手にしていると思います。

みんなで、本気でコロナ後を考える場を作っていきましょう。
そして、コロナ後に新しい地域主導の日本の姿を作っていきましょう。
東京の国会議員が、東京の官僚が考えた国づくりではなく、地域の人たちが地域のために考えた地域がつながりあって国が出来上がる時代を作っていきましょう。