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コラム『雑記帳』

1983年国際自然大学校設立当初より発刊していた機関誌『OUTFITTER』に寄稿していたコラムです。
現在、機関誌『OUTFITTER』は、廃刊となりましたので、WEBにて、コラムを書き続けています。
現在は月1回、1日に更新しています。

『学校から地域へとクラブ活動が変わっていく』

2022.12.1

クラブ活動が、学校から地域での活動へと形を変えようとしていますね。
実はこの発想、以前から私も思っていました。
いえいえ、走林社中の中では、申し上げてきていました。

しかし今行われようとしている地域での活動は、ちょっと疑問を感じます。

いつするの?
まず、地域で行うのは週末であるということ。
平日の放課後は、今まで通り学校で行われる。
こんな方法でうまくいくのでしょうか。平日に指導している先生と、週末指導する先生が違うということになりますよね。
そんなのうまくいきますかね。平日に言われたことと、週末に言われたことが違ったら、子どもたちは困ってしまいますよね。
そうなったら、子どもたちはどちらかを選ぶのでしょう。

近々は週末だけでも、いずれは毎日の放課後も、夏休みや冬休みも地域で行うようになるのならば、その方向性をきちんとしめさないといけませんよね。
でないと、場当たり的な対応になってしまいます。

逆に、部活動を週末だけの開催とすれば、平日の放課後、子どもたちは行き場を失い、町でたむろしたりしてしまうかもしれませんね。
とするならば、できれば毎日、放課後、地域でクラブ活動が行われるのがいいですよね。

どこでするの?
では、それはどこで行われるのでしょうか。
スポーツ系の部活をクラブ活動化していくことがクローズアップされていますが、部活動には文化部もあるのです。
そのまま、学校が利用できればいいですよね。
もちろん、総合型スポーツクラブの施設や、青少年センターや社会教育会館などという施設も使えればいいでしょう。
でも、毎日同じ時間を確保するのは、実際は結構難しいのかもしれません。
今まで通り学校が使えれば、それに越したことはないのではないでしょうが。
学校では、クラブ活動指導者室みたいな、職員室をもうひとつ作る必要があるでしょう。
そこに、クラブの先生方が、机を置いて、指導の準備をしたりすることができるようにしなくては、きっと定着しないでしょう。
備品も、共有するのか別々にするのか、きちんと整理しないといけないでしょう。
そういう点では部室とか、用具庫なども、クラブ用のものを作るべきでしょう。

誰が教えてくれるの?
学校に、新しく、クラブ活動のための先生が来て、教えてくれるようになったとしましょう。
学校の授業が終わった後に、地域の書道教室の先生や、絵画教室の先生が学校で教えてくれるのです。
ただし、学校の先生でも協力したいという先生は、地域の人材というスタンスでならば、教えてもいいでしょう。
でも、そんな地域でのクラブ活動の指導に、書道教室や絵画教室の先生が本当に来てくれるのでしょうか?
夕方3時とか4時ごろから、野球クラブのコーチは来れるでしょうか?
仕事をしている大人ですよね。
きっと、セミプロとか、プロが必要になってくるでしょう。
放課後しか指導しないのに、それで飯を食えるような仕組みは作れないだろうといわれるかもしれません。
しかし、週末の練習試合や大会への参加を考えれば、その労働時間は、一般の教育者に匹敵するのではないでしょうか。

費用が掛かるようになりますね
すると、クラブの参加費が必要になります。
その参加費を保護者の方々に負担してもらわなくてはいけなくなります。
払えない家庭も出てくるでしょう。
そんな家庭を補助する制度を、行政は整えるべきでしょう。
誰もが無料でとか、安く参加できるのではなく、きちんと対価を支払うべきなのです。
学校教育から離れて、地域のクラブ活動にするというのは、社会教育の範疇で行うということであり、費用が掛かるということなのです。
そして社会教育として、どのような子どもも、参加したいと思うならば参加できるよう、補助制度を整えるべきなのです。

そして、このクラブ活動の中に、新たに自然体験クラブが創設されるといいなと思っています。
地域の自然学校が自然体験クラブを創設して、子どもたちを受け入れるのです。
この自然体験クラブは、自然のことを知るとともに、「災害の時に、いかに生き抜くか」などというような、防災教育も引き受けてもいいかもしれませんね。