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コラム『雑記帳』

1983年国際自然大学校設立当初より発刊していた機関誌『OUTFITTER』に寄稿していたコラムです。
現在、機関誌『OUTFITTER』は、廃刊となりましたので、WEBにて、コラムを書き続けています。
現在は月1回、1日に更新しています。

『さあ、準備を始めよう』

2021.8.1



今は、夏休み。
オリンピックも開催されているけれど、無観客になり、夏休みの楽しみが一つ減ってしまいましたね。
ましてや、東京などの大都市には緊急事態宣言が発令されて、県をまたぐ移動は控えてくださいというメッセージが聞こえてきます。
しかし先日の4連休などは、我が家の周りは県外ナンバーの車だらけでした。
もう、そんなメッセージや緊急事態宣言などどうでもいい…みたいな感じなのでしょうか。

そんな中、自然学校の人たちはどんな風にしているのでしょう。
コロナ感染症対策は十分にして、キャンプを実施している団体が大半のようです。
その対策とは、参加者人数を減らしてとか、宿泊はしないとか、テントには泊まらずにとか、集合解散は各自で現地にお願いしますということのようです。
皆、苦労をしていますね。
すごく頑張っていると思います。
そうして、頑張ってやってきて、やっとトンネルの出口が見えてきた感じでしょうか。
このコロナ感染症というトンネルの向こうにはどんな世界が広がっているのでしょうね。

この状況がおさまったら、コロナ感染症が流行する前の風景に戻るのでしょうか?
戻ってほしいと思いますか?
戻ってくるような気もしますし、違う風景になるような気もします。
もう少し前向きに考えるなら、これをひとつのチャンスととらえて、新しい風景を作り上げることができないだろうかとも考えます。
今まで私たちが行ってきたキャンプの多くは、アメリカのそれをコピーしたり、改良したりしてきました。
しかし、根本的にもう一度、見直してみるいい機会なのだと思います。

自然学校はもっと地域に密着したものとなって、都会から参加者を受け入れていきます。
コロナ禍で培った、オンライン技術で参加者の募集もお手の物になってきているのではないでしょうか。
たくさんの子どもが、バスでどど~んと送り込まれてくるようなものではなくて、人数は少なくなるけれど…この少人数の運営もコロナ禍で、培ったでしょう…長い期間を参加してもらうことで、採算はそれほど変わらなくなるのではないでしょうか。
キャンプ期間中に、ご家族と過ごすような日程もあっていいでしょう。
そう、長期キャンプの中に、家族で過ごす期間があって、お父さんはワーケーションをする、お母さんはゆっくりくつろぐ。その間子ども達は、デイキャンプのように、日中だけキャンプに参加するなんてスタイルが、できないでしょうか。
BSで放送されている、プロアドベンチャーレーサーの田中陽希さんが行っている100名山一筆書きみたいな活動とか、東海道とか、中山道とかの五街道を歩く活動とか、面白いですよね。
今までは「〇月〇日から〇月〇日まで、この中山道を歩く活動をします。参加しませんか?」という形でした。
でも、〇月〇日から、〇月〇日まで…ないしは一年間ずっと、中山道を家族で歩く活動しませんか。というのも面白いのではないでしょうか。
途中でご利用いただけるお休みどころや宿泊施設は、こちらで手配します。みたいな活動もできるのではないでしょうか。
もちろん中山道だけでなくて、五街道でもいいし、丹沢山縦走みたいのでもいいかもしれあせん。
ネットなどを活用して、歩いている家族と主催者がつながって、「今どこまで歩きました。」「じゃあ、ここでお休みしてはいかがですか?」とか「今夜は、この宿に泊まりましょう。」とか、情報を交換したり、手配してあげたり、変更してあげたり。
何かトラブルがあったら、近くの提携している自然学校のスタッフが助けに行く…みたいな活動はいかがですか?
もちろん、「ご希望のご家族にはガイド同行もします。」とか。

「何のためにするんだ」と言われるかもしれません。
それは『家庭教育の再構築のお手伝い』です。
きっとこのコロナ禍で、家族の時間が増えたのはいいけれど、親と子の関係が本当に充実したものになっているかは、ちょっと研究した方がいいと思うのです。
何故かというと、大人が子どもに伝えるものを持っていないかもしれないから。
持っていたとしても、伝え方がわからないかもしれないから。
そこで、親が模倣したらいいようなモデルを、旅の途中にちりばめてあげるといいと思うのです。もちろんそのモデルは、おじいさんとかおばあさんの方がいいでしょう。
おじさんおばさんでもいいかもしれません。

ちょっと視点を変えると、これらの活動は今までのキャンプよりもお金がかかるものになるかもしれません。
そうなると参加できない子どもが増えるかもしれません。
このコロナ禍で、経済格差も広がり、ひとり親の家庭などの困窮率は高くなっているようです。
今、日本アウトドアネットワーク(JON)で、そんなひとり親家庭の子どもたちがキャンプに参加できるように支援する仕組みを試行してくれています。
この仕組みを、ぜひとも定着させて、お金が少し高いキャンプにでも、子ども達が参加できるようにしてあげなくてはいけません。
走林社中でも、このJONの支援に呼応して募金をすることにしました。
小さな額でも、その全額が、ちゃんと寄付される…クラウドファンディングのように手数料を引かれない…募金の仕組みにチャレンジしています。街頭募金のネット版です。
今は PayPayだけですが、「友達に送金できる」という仕組みを使って募金するというものです。
もしよろしければ、ちょっと募金してください。チャレンジに参加してみてください。