日本を、支える人材、けん引する人材、を育てる

コラム『雑記帳』

1983年国際自然大学校設立当初より発刊していた機関誌『OUTFITTER』に寄稿していたコラムです。
現在、機関誌『OUTFITTER』は、廃刊となりましたので、WEBにて、コラムを書き続けています。
現在は月1回、1日に更新しています。

第386号 『新しい参加費の仕組み』

2023.6.1


コロナがほぼ日常の中に落ち着いてきた今、私たちの自然体験は以前と同じようになるのでしょうか?
同じになるのかどうかを考えるとき、私たちは、社会の変化をきちんと見極めなくてはいけないと思います。
まず、私たちが自然体験を提供するお子さんや、家庭のことを考えてみましょう。
1, コロナで、家族単位でのお出かけが多くなった。
コロナが終わって、この習慣は続くのでしょうか?
特にファミリーのキャンプなどは続くでしょう。
なぜなら、宿に泊まったりするよりも、ずっとリーズナブルだということを知ってしまったうえに、いろいろな道具も買いそろえてしまいましたから。
また、いろいろと楽しげなキャンプ場もオープンしています。
2, お子さんをキャンプに出す家庭は、増えていくでしょうか。
それを考えるとき、経済力の格差が大きくなったことを感じます。
わかりやすく言えば、貧富の差の拡大です。
コロナでも、仕事がうまくいった人と、コロナで大きなダメージを受けてしまった家庭があるということです。
そんな社会の変化といっても、これらはほんの一部で、他にもいろいろあると思います。
しかし少なくとも、コロナ前と今では、その環境は変化してきているということは間違いないでしょう。
そんな今、より多くの子ども達が一人でも多く自然の中での体験活動に参加できるようにするには、私たちは社会に対して、どんな行動をすればいいのでしょうか。
そこで、こんなことを考えました。
参加費の仕組みの変更です
「所得スライド参加費制度」ととりあえず呼びましょう。
表をご覧ください
主宰者の希望参加費が 10,000円だとしましょう
この額をいただければ、開催ができる金額です
年収の区分 参加費の目安

この表が参加費ではありません。
あくまでも目安です。
例えば、1千万円の年収があるご家庭でも、お子さんが4人いて、祖父母も一緒に暮らしている家庭と、
900万円の年収で、お子さんが1人とご両親という家族3人のご家庭では、きっと後者の方がゆとりがあるでしょう。
ですから、この方法には、参加者の方々の理解が必須になります。
特に高所得者の家庭においては、自分の子どもだけではなく、地域の子どものことも考えてあげる。地域がみんなで地域の子どもを育てるという発想を持ってもらわなくてはいけません。
自分は980万円だから1万円でと、考えてほしくはないのです。
また逆に1千万円だからどうしても2万円払わなくてはいけないとも思ってほしくないのです。
1万5千円でもいいのです。もちろん3万円でもいいのです。
もう1つ、主催者が考えなくてはいけないことは、40人募集のキャンプで、最低催行が25人としましょう。
25人集まったときに25万円を超えないと、催行できなくなります。
今までの催行人数に加え、催行参加費合計額というのも表示してはいかがでしょう。
もちろん、何回か継続して高額参加費を収めていただいたご家庭には、小さくてもよいので、感謝状なども送るとよいですね。
また、地域によっては、いつも催行参加費合計額を達成できないような地域もあるでしょう。
そんな地域は、その地域の企業や行政と話し合って、支援を受けるという方法もあるのではないでしょうか。
足りない額を補填してもらうとか、最初から一定額の寄付を受け、不足額を使い、残ったお金は翌年に繰り越す…とかでもいいのではないでしょうか。
これは1つの例ですが、これからの自然体験を考える時、コロナ前と同じことを同じように行っていくのではなく、時代に合った、時代の変化に沿ったやり方を模索していかなければならないと思うのです。