「SPS~ひとり親家庭支援事業~について-実情」
2021.10.14
日本の母子世帯数は推計によると、約123万世帯もあるそうです(父子世帯は約18万世帯)この数は、30年前に比べると、1.5倍に増加しているそうです。では、母子世帯の母親の就業率はどれくらいかと言うと、81.8%となっています。これは、アメリカやイギリスなどの海外の国々に比べると高い数字となっています。しかし、平均年間収入は200万にしかならず、就業率が高いのに収入が低いことが特徴的です。理由としては、半分以上が、パート・アルバイト・派遣社員などの非正規職員だからだと言われています。更に、日本の場合、7人に1人の子どもが貧困状態にあると言われています。1クラス35名だとすると、クラスの中の5人は貧困状態という計算になります。そんな中で更に追い打ちをかけているのが、コロナです。様々な物流や人の流れがストップし、経済が下降線をたどりました。職を失った人も、金銭的に大きなダメージを受けた人もたくさんいたはずです。企業は、そんなときどうしますか?非正規雇用やアルバイトを削ることをするならば、それはまさに母子世帯の生活を更に苦しめることになるのではないでしょうか。
さて、母子世帯の子どもたちは、私たち自然学校が企画する事業に参加出来ているのでしょうか?言うまでもなく、参加することはハードルが高いことは、想像ができます。きっと、参加はさせたいけれど、現実的には厳しいという家庭が殆どではないでしょうか。みなさんは、どう思いますか?きっと私たちがキャンプなどで接している子どもたちは、富裕層の家庭が多いのではないでしょうか。だから、7人に1人?本当なのそれ?参加できていないの?となんとなくそう感じているのではないでしょうか。しかし、先の通り、参加できていないというのが現実なのです。では、母子世帯の子どもたちが参加できない(しにくい)理由は、何が原因なのでしょうか。
(1)参加費用
もちろん一番はこれです。都内近郊の自然学校の平均価格は、日帰り活動で7,000~10,000円、1泊2日では18,000~23,000円ほどではないかと思います。簡単に毎週払える金額ではないですよね。更に、サマーキャンプやスキーキャンプなどの2泊や3泊となるともっと金額が上がるわけです。
(2)アウトドアギア
参加するにあたり、ザック、レインウエア、靴をはじめとしたギアがない、または、仮に上記にある参加費用を払えたとしても、参加する場合に必要な装備を揃えられないという問題が生じてきてしまいます。
(3)送り迎えなど
多くはないと思いますが、働く親御さんからすると、朝集合場所まで連れていき、帰りにお迎えに行く。ということは、仕事を休んだり、調整する必要が出てきてしまいます。
では、逆に言うとこの3つが解消されれば、参加できるということになると思います。金、物、人が必要になるということです。私が担当する「自然学校と企業との連携PJ」は、HPで以下のように説明しています。
『自然学校は人と自然を繋ぐ役割だけではなく、企業と連携することによって、「人・物・金」が動き、活動の幅が広がります。そこに参加する、子どもたちやスタッフにより良い環境を提供できるような、長く続く仕組みを作っていきます。』
まさにこの通りですね。参加費用を賄えて、装備があって、人がいればいいわけです。
と、簡単に言いましたが、そんなに直ぐできることでもありません。簡単ならとっくにその仕組みは出来ているわけですから。
でも、よく考えてみてください。
私たちが言う、自然体験活動は教育だと言うのであれば、いつでもだれでも体験できないとおかしいですよね?家庭環境がいい世帯だけが体験できる。そこから脱却するには、こんな仕組みが必要なのではないか。それが、SPS~ひとり親家庭支援事業~になります。来月は、その仕組み作りを報告していきたいと思います。