日本を、支える人材、けん引する人材、を育てる

Ⅲ 自然学校と企業との連携

自然学校は人と自然を繋ぐ役割だけではなく、企業と連携することによって、「人・物・金」が動き、活動の幅が広がります。そこに参加する、子どもたちやスタッフにより良い環境を提供できるような、長く続く仕組みを作っていきます。

「メーカーの自然学校への理解度とその実情」

2021.5.24

「自然学校とはどんな所ですか?」と聞かれたら、みなさんはどう答えますか?2010年に行われた自然学校全国調査報告書によると、以下のように定義されています。

「自然学校」とは

(1)【理念・意義】活動を通して「人と自然」「人と人」「人と社会」を深くつなげ、自然と人 間が共生する持続可能な社会づくりに貢献していること。

(2)【活動】自然体験活動または、地域の生活文化に関わる地域つくり活動その他の教育的な体験活動を、専門家の指導の下で組織的に安全に楽しく実施していること。

(3)【組織形態】責任者、指導者、連絡先住所、活動プログラム、活動場所、参加者を有していること。と記載されています。

 

 では、自然学校はいったいどれくらいの人たちに、存在を認知されているのでしょうか?もちろん、プログラムに参加している参加者やスタッフは理解していると思いますが、アウトドアメーカーをはじめとする、企業の認知度はどれくらいのものでしょうか。正確に集計したものではないので、はっきりとしたパーセンテージは出せませんが、恐らくアウトドアメーカーをはじめとした企業は、自然学校の具体的な活動内容を、ほぼ理解していないと思います。ということは、自然学校には年間どれくらいの数の子どもたちが参加していて、どんなプログラムをしているのか、どんな装備が必要なのかを知らないということになります。これまで、いくつかのメーカーの方とお話する機会がありましたが、やはり理解度は低いように感じます。

 みなさん、自分の団体の参加者数を思い返してみてください。年間に何人の子どもたちが参加しますか?その子どもたちは、夏休みであれば、殆どの子どもたちがザックを背負って参加しませんか?中には、上から下までアウトドアメーカーの商品で揃えられた服装の子もいるのではないでしょうか。1団体ではそれほどの数にはならないかもしれませんが、いくつかの団体をまとめると、それなりの数になるのではないでしょうか。その市場を、殆どのアウトドアメーカーは知りません。いや、正しくは、私たち自然学校側が伝えられていないのだと思います。

さらに、子どもたちが参加するということは、その先には保護者がいるということも忘れてはいけません。

 子どもたちが参加する夏休みは、多くの家庭でキャンプに必要な物を揃えると思います。ザックやレインウエア、靴や帽子。高価な物なので、もちろん、普段から使っている物を代用する家庭もあるでしょう。初めから全部揃える方が、まれかもしれません。しかし、リピーターになると、徐々に買い揃え始めたり、学年が上がるにつれサイズがあった物に変更したりと、間違いなく需要はあります。本来であれば、私たち自然学校がアウトドアメーカーの商品をきちんと理解し、参加者へ説明できるくらいになっていなければいけません。それが、プログラムの安全性や質の向上につながり、ひいては団体への信用になっていくのだと思います。

 しかし、それは簡単なことではありません。パンフレットやホームページを見れば全てが分かるものでもありません。では、どうしたらよいでしょうか?
それは、もっとメーカーの方たちと直接話す機会を作ること、できれば店頭で実際に試着などをさせてもらい、その時のトレンドや最新の機能を早くキャッチすることだと思います。また、メーカーが行う展示会などがあれば、出来るだけ足を運び、関係性を作っておくべきかと思います。メーカーとの商品勉強会も良いかもしれません。そして、商品を購入した際は、きちんとフィードバックをしてあげるとよいでしょう。なぜなら、利用者の声は、メーカーにとっては貴重な声をして、営業戦略につながるからです。

 このように、しっかりとコミュニケーションをとることで、徐々に自然学校のことをメーカーにも理解してもらう必要があると思います。そのためには、まずは自分たちの活動を整理して、きちんと説明できることも重要です。

 次回は、ネットワーク団体とメーカーとのプロセールスについて書きたいと思います。