日本を、支える人材、けん引する人材、を育てる

青少年教育施設改革(アーカイブ)

これまで、遍く子どもたちの自然体験の場として、青少年教育施設がその役割を担ってきました。しかし、施設の老朽化や少子化による利用者数の低下などの課題も顕在化してきています。これらの課題を解決し、次世代に残していけるよう本プロジェクトを遂行します。

青少年教育施設の地域における在り方 調査研究をもとに考える

2021.8.2

過去に青少年教育施設の地域における在り方を、調査されていた報告書があります。
なんとなく、肌感覚で感じていたことを調査に基づいたデータから見てみようと思います。

今回は、「国立青少年教育振興機構」が実施した「地域における青少年教育施設の在り方等に関する調査研究」報告書からその結果を引用させていただきました。特に「地域との連携」について調査をされています。
2017年の報告書になるので少しタイムラグはありますが貴重なデータとなります。
是非皆さんも一度ご覧ください。以下リンクから閲覧できます。
http://www.niye.go.jp/kenkyu_houkoku/contents/detail/i/122/

「少年自然の家」「青年の家(宿泊型)」「青年の家(非宿泊型)」及び「その他の青少年教育
施設」に該当する 769 施設を対象に、設置主体別に分析しています。
その中で地域との連携について問う設問を以下にご紹介いたします。


「地域の各種施設・団体との連携の有無」
 全体では「行った」の割合が402 施設(52.3%)、設置主体別にみると、市(区)立(189 施設、51.9%)、町・村・組合(55 施設、70.5%)、及び民間(63 施設、60.6%)は「行っていない」の割合が高くなっています。

「連携した活動内容」
 全体では「共催事業・イベントの実施」の割合が 339 施設(84.3%)、次いで「施設、物品・設備等の貸し借り」(210 施設、52.2%)、「研修会や交流会の共同実施」(137 施設、34.1%)となっています。

「連携した相手」
 全体では「他の青少年教育施設」の割合が160 施設(39.8%)、次いで「教育委員会(事務局)」(158 施設、39.3%)、「小学校・中学校」(145 施設、36.1%)となっています。

「連携を始めた主な理由」
 全体では「地域に根付いた施設運営を図るため」の割合が237 施設(59.0%)、次いで「多様な活動や総合的な事業展開を図るため」(215 施設、53.5%)、「様々な機関・団体とのネットワークを広げるため」(206 施設、51.2%)となっています。

 「連携の成果」
主な施設から成果を抽出したところ、「学校や行政機関と連携し、青少年教育施設の有効活用が図れた」、「立地環境を活かした連携によって施設利用者が確保できた」、「地域の青少年教育環境の醸成を通じ、新たな利用者層を獲得できた」などが挙げられました。
 

さて、ここまでの調査結果で皆さんは地域と青少年教育施設の連携の在り方についてどのようにお感じでしょうか。連携の有無については、国立の施設では全施設で連携を行なっているとの回答が得られているようです。傾向としては、大規模施設ほど連携できていて、小規模施設ほど連携するのが難しいという結果も出ています。
また、連携という言葉についても、もっと踏み込んで定義していく必要があるかもしれません。本報告書には、各施設の詳細事例も盛り込まれているので、是非ご確認ください。

連携に関する課題についても以下のように調査されています。
「連携に関する課題」
連携の課題として、以下の点が挙げられています。
・職員の連携に関する負担をどのように分散、軽減させるか。
・連携の継続性をどのように維持させるか。
・連携相手の核となる人物をどのように探すか

連携に関する課題は、皆さんもイメージしやすいのではないでしょうか。そもそもなぜ連携が必要なのかということをしっかり組織内でも合意を取らなければ、継続性を持たせることは難しいですね。

そして、地域から必要とされる施設でなければ、その存在意義が問われます。地域課題を解決するために地域のプレイヤーを把握し、誰と誰が手を組むべきかイメージしておく必要があります。自分たちでできることもあえて地域の方が活躍できる場を用意してあげることが役割なのではないでしょうか。そのために、青少年教育施設のスタッフは、常に地域の動きに対してアンテナを張る必要があるのだと思います。

連携する目的の一つとして、青少年教育施設の運営をサポートしてくれる協力者を増やしていくこともその一つなのだと思います。IT技術を使った広報、業務改善のためのシステム開発、設備の修繕、新しいプログラムの開発など、青少年教育施設単独では改善できない業務や事業の課題を解決してくれるかもしれません。教育委員会や学校との連携も重要ですが、私たちはもっと異業種・他分野との連携をしていく必要があるのだと思います。

しかし、それには、青少年教育施設の存在意義や重要性をしっかりと理論建て、共感してもらう必要があります。
本プロジェクトにおいて、青少年教育施設の役割について、皆さんと議論し深めていければと考えておりますので、
お力添えお願いいたします。